テレビ朝日系列で12月18日に放送された「M-1グランプリ」で、佐賀県の「運転免許証自主返納者が対象のタクシー運賃2割引」が漫才のネタで使われ話題になっている。

佐賀県で実施されている「運転経歴証明書提示者対象タクシー運賃2割引サービス」

　同サービスは、佐賀県と佐賀県バス・タクシー協会は今年8月から始めた、運転免許証を自主返納または失効し、公安委員会が発行する「運転経歴証明書」を提示した人を対象にタクシー運賃を2割引にするもので、2017（平成29）年から同協会が独自に実施していた「運賃1割引」に佐賀県がさらに1割を上乗せした。同協会に加盟する42のタクシー会社と佐賀市個人タクシー協会組合のタクシーが対象で、福祉タクシーは除く。

　「M-1グランプリ」決勝戦ファーストラウンド5番目に登場したお笑いコンビ「さや香」が披露した「免許返納」のネタの中で、「免許返納すると20％引で乗れる」と発言。「全国？」と聞かれ「佐賀県だけ」と返し、会場の笑いを誘った。その後のネタにも佐賀に関係するネタを披露し、審査員の博多大吉さんやナイツ・塙宣之さんが佐賀について触れる場面もあった。

　ネタ披露後、SNSでは佐賀タクシー（佐賀市本庄町）公式アカウントが「免許返納したらタクシー2割引は佐賀だけ」とツイート。「『つながるタクシー』という補助を使うと8割引になったりします！佐賀に運良く入れた時はぜひ」と観光客向けサービスもアピールし、1800以上のいいねを集めた。「佐賀在住だけど免許返納制度のことを初めて知った」というツイートも多く見られた。

　「佐賀タクシー」常務取締役の牛島尚子さんは「思った以上にたくさんの人に反応してもらい、驚いている。この機会に多くの方に『入れないはずの佐賀』に潜入してみて欲しい。当社の免許返納割引は昨年比で約2倍の利用になった。まだまだ知らない人も多くいると思うので、この機会に利用してもらえれば。高齢化で地域の公共交通機関の役割が高まり、免許返納者だけでなく、高齢者が安心して地域で生活するための課題に取り組んでいきたい」と話す。

　佐賀県くらしの安全安心課交通事故防止特別対策室によると、この割引制度は人身事故や交通死亡事故の割合が高い高齢者の活用を想定しているが、病気やけがで運転ができなくなったことで自主返納し、運転経歴証明書の発行を受ければ、年齢に関係なく利用できるという。佐賀県警運転免許課によると、運転経歴証明書の申請件数は今年8月以降、増えているという。