
2026年7月31日、被害の大きかった熊本県八代郡へ緊急物資を搬入し支援にあたる佐々木(写真左)
国際協力や国内災害支援を行う認定NPO法人テラ・ルネッサンス(本部:京都府京都市、理事長:吉田真衣 )は、7月28日に発生した「令和8年熊本地震」を受け、 7月30日から被災地へ入り、緊急支援活動を行ってきました。
8月28日で発災から1か月。活動の陣頭に立った事務局長の佐々木純徹(ささき じゅんてつ)は、10年前の熊本地震では陸上自衛隊の中隊長として、被災地支援に従事。その後、テラ・ルネッサンス職員としてウクライナでの人道支援などを経験し、今回はNPOの立場で再び熊本へ入りました。
2016年の熊本、2022年のウクライナ、そして2026年の熊本。それぞれの支援経験が、今回の「ラストワンマイル」を担う支援へとつながっています。
■ 部隊を率いた10年前。今回は一人で被災地へ
2016年4月に発生した熊本地震。当時、自衛隊で中隊長を務め、宮崎県えびの市にいた佐々木は、発災直後に緊急招集を受け、翌日には部隊を率いて熊本県内へ入りました。当時佐々木が担ったのは、給水や炊き出し、支援物資を各避難所へ運ぶ物流など、大規模な災害支援でした。
それから10年。令和8年熊本地震の発災後、佐々木はまず一人で現地入りしました。

写真:2026年7月31日熊本県八代郡にて、緊急物資支援にあたる佐々木
「10年前は約50人ほどを率いていました。今回はまず一人で現地調査から始めました。量の面では当時の方ができることは圧倒的に大きい。一方で今回は、自分たちで『どこに行くべきか』『何をするべきか』を考え、柔軟に動くことができる。その違いは大きいと感じました」(佐々木)
■ 「本当に探さなければならないのは、情報が上がってこないところ」
2016年の熊本地震で、佐々木の心に刻まれた一つの気づきがあります。
災害が発生すると、行政や自衛隊には「ここで困っている」「助けてほしい」と数多くの情報が寄せられます。しかし、その一方で、高齢者や外出が難しい方など、自ら情報を発信したり、助けを求めたりすることが難しい人もいます。
「情報はたくさん入ってきます。でも、本当に大事なのは、情報が上がってこないところではないか。動けない方や高齢者など、自分から『助けて』と言えない人は、こちらから探しに行かなければ見つけることができません。10年前の熊本で、そのことを学びました」(佐々木)
この経験は、その後テラ・ルネッサンスに入職した佐々木の、ウクライナでの人道支援活動にもつながっていきました。
■ 2016年の熊本での学びが、ウクライナで「Hardest to Reach」と重なる

写真:2022年3月ウクライナ西部にて/右・佐々木純徹 左・吉田真衣(テラ・ルネッサンス理事長)
2022年、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、テラ・ルネッサンスは緊急支援を開始。まず、避難民が流入していたハンガリーへ入りました。
「ハンガリーのブダペストにはすでに多くの避難民がいて、政府や支援団体も活動していました。そこで支援することもできましたが、日本の支援者から託された限られた資金だからこそ、本当に支援が届いていないところを探して届けたい。そう考えました」(佐々木)
現地を移動しながら情報を集め、支援の空白地帯となっていたウクライナ西部へと活動を広げました。 その過程で、10年前の熊本で学んだことが、「Hardest to Reach(ハーデスト・トゥ・リーチ/最も支援が届きにくい人や地域へ)」というテラ・ルネッサンスの支援哲学と重なっていることを実感しました。
■ 令和8年の熊本で、「ラストワンマイル」を担う

写真:2026年8月9日 被害の大きかった八代郡氷川町の高齢者介護施設で物資が足りないとの情報を受け、支援に向かうテラ・ルネッサンス/左・佐々木純徹
そして令和8年、NPOの立場で再び熊本へ。テラ・ルネッサンスが最初に向かった熊本県八代郡氷川町の役場では、すでに支援物資の受け入れや避難所への配送が始まり、自治体職員や他の支援団体も入り、公的な支援の仕組みが動き始めていました。
「公的な支援がしっかり動き始めているのを見て、そこに自分たちが加わるよりも、その仕組みだけでは届きにくいところへ行こうと判断しました。NPOだからこそできる役割があると思っています」(佐々木)
テラ・ルネッサンスは、地域住民や民間団体などから情報を集め、物資を取りに来ることが難しい方や在宅で避難生活を送る方、福祉関係施設などへ直接物資を届ける「ラストワンマイル」を担う支援へと軸足を移しました。
支援物資は、現地でのヒアリングをもとに、実際にニーズが確認できたものを調達。その際、元ICU(集中治療室)看護師の経歴を持つスタッフ・今成祥(いまなり あきら)の知見も活用しました。乳幼児の脱水に備えた小児用経口補水液を選定したほか、大人用おむつや乳幼児用品、衛生用品なども、被災した方々が使いやすく、避難生活で役立つ商品を選んで届けました。

写真:テラ・ルネッサンス佐賀事務所職員の今成祥。元ICU看護師の経歴を持つ/2026年7月31日 熊本県八代郡にて
■ 変化するニーズに応え、次の支援へ
テラ・ルネッサンスは8月15日をもって、緊急物資支援を中心とする「初動の支援」を一区切りとしました。発災から時間が経つにつれ、被災地で求められる支援はより個別化、多様化しています。
今後は地元の団体や企業、国内外のパートナーとも連携しながら、被災した方々が少しずつ日常を取り戻していくために、炊き出しや子どもたちが安心して過ごせる場づくりなど、生活の再建につながる支援に取り組んでいきます。
「災害支援は、時間が経てば必要とされるものも、必要としている人も変わっていきます。その時々の声を聞きながら、地域の方々や企業、団体、個人とつながって、必要な役割を担っていく。それがNPOだからこそできる支援だと思っています」(佐々木)

2026年8月4日 熊本県八代郡にて 支援が届かなかった個人宅への食品・飲料等の緊急物資支援にあたる佐々木
●関連リンク
熊本地震支援に関する報告ブログはこちら
https://www.terra-r.jp/news/tag/kumamotosupport/
■ この件に関するお問い合わせ(取材)について
認定NPO法人テラ・ルネッサンス
メール:contact@terra-r.jp
電 話:075-741-8786(代表・折り返しいたします)