明治から昭和にかけて活躍した佐賀県出身の洋画家・山口亮一の創作活動拠点だった「山口亮一旧宅」(佐賀市与賀町)に、美術の活動に携わりたい人たちのための場所「かやぶき屋根の図工室」の開設を目指し、6月20日・21日、プレオープン会を開催する。
山口亮一は1880(明治13)年、佐賀藩の重臣・中野家の次男として生まれ、のちに藩医・山口家の養子になった。画家を志ざした山口は、伯父で洋画家の小代為重、義兄で同じく洋画家の久米桂一郎のほか、黒田清輝や岡田三郎助など日本近代洋画の巨匠と言われる人から直接指導を受けた。東京美術学校(現=東京芸術大学)の西洋画科を首席で卒業後、佐賀へ帰郷し、「くど造り」が特徴の武家屋敷を拠点に活動。1913(大正2)、岡田三郎助や久米桂一郎らとともに佐賀美術協会を設立し、初代会長に就任。総合美術展の開催に尽力し、油彩画だけでなく、日本画の技法を用いた作品を多く残した。
1967(昭和42)年に山口が亡くなった後、制作拠点だった旧宅は1993(平成5)年に佐賀市に寄贈。その後、建物の老朽化進行で解体が検討されたが、佐賀県美術協会など市民の署名活動により存続が決まり、改修後、2003(平成15)年から古民家再生などを手掛ける佐賀市内のNPO「まちづくり研究所」が指定管理を受け、2025年3月まで運営。建物は2006(平成18)年に「22世紀に残す佐賀県遺産」に認定された。昨年11月から、日本画家・大串亮平さんが代表を務める「エフデザインワークス」が運営を担い、建物の改修や茅葺き屋根の葺き替えが完了する来年3月でトライアル期間として、「みんなのけいこば」をテーマに、大人から子どもまで参加できるアート企画やワークショップを行っている。
今回、開設する「かやぶき屋根の図工室」は、美術やものづくりに興味がある人が創作を楽しめる場所で、運営メンバーの美術家や作家と交流しながら、水彩やアクリル絵の具、画用紙、紙粘土、パステル、和紙などの画材を使い、作品を作ることができるといい、6月20日・21日に「図工室」のプレオープン会を実施する。
大串さんは「美術や芸術活動するメンバーで今後、図工室の体験会など、『描く』きっかけとなるイベントを企画していく予定なので、まずは気軽に足を運んでほしい。今後、佐賀で芸術活動している人をつなぐ『アーティストバンク』の拠点を目指し、これらに関わる人がより多く集まる場にできれば」と話す。
開催時間は10時~16時。参加費は1回500円(見学は無料)。「山口亮一旧宅」のインスタグラムで予約を受け付ける。