横浜市から佐賀市に移住した書道家・大平竜也さんの移住後初の作品展が現在、「伊酒屋BasilBasil(いざかや・バジルバジル)」(佐賀市鍋島町森田)で開かれている。
大平さんは、佐賀に移住した2018(平成30)年に開催された「肥前さが幕末維新博覧会」ではスタッフを務め、2019年からホウレンソウ農家を目指すトレーニングファーム研修生として市北部の富士町に移り、2021年の独立就農を目指している。一方、大学時代に書道部在籍してから書家活動を始めた大平さんは、大学院卒業時に初めて個展を開き、その後も腕を磨き続けてきたという。
「伊酒屋Basil Basil」店内で今月開催されたマルシェで、知り合いのアスパラガス農家と野菜を販売したことをきっかけに、同店主の中原浩二さんが店内に作品を展示して地元アーティストを応援していると聞き、個展開催を決めた。
展示数は12点。書道部の当時の顧問が「かな書道」の普及を目指す「書道香瓔会(こうようかい)」に所属していたことから、細身のかな文字をちりばめた繊細で優雅な書風の作品が並ぶ。松尾芭蕉の句を筆した「奈良七重七堂伽藍八重桜(ならななへ・しちどうがらん・やへざくら)」は、大平さんが学生時代に制作した書を書き直したもので、「学生時代より心に余裕が生まれた」(大平さん)ことで余白を取り入れた落ち着いた作品に仕上がったという。
大平さんは「卒業展以来6年ぶりとなる個展を佐賀で開催することができて光栄。実現に力を貸してくれた方々に感謝したい。日本の伝統的なかな書道を鑑賞する機会になれば」と呼び掛ける。
開館時間は、11時30分~15時、17時~24時。月曜休館(以上、店舗営業に準ずる)。7月19日まで。