佐賀藩の藩主・鍋島家に伝わる象牙細工の作品25点が2月11日から、「徴古館」(佐賀市松原2)で展示されている。
「実の質感まで伝わってくる」という「バナナ」など、象牙細工の展示品の一部
同館で同日から開催されている特別展「鍋島家の雛祭り」で展示されている象牙細工。鍋島家11代当主・直大(なおひろ)の妻である栄子(ながこ)と、13代当主・直泰(なおやす)の妻・紀久子の2人が皇室や朝香宮(あさかのみや)家から拝領した。同館スタッフの池田三紗さんによると、象牙細工は栄子が明治天皇の皇后である昭憲皇太后からプレゼントされたものや、朝香宮家出身である紀久子が鍋島家に嫁入りする際に調度品としてもらったものなど、来歴はさまざまだという。
池田さんは「館内で展示している栄子たちのひな人形とほぼ同時期に鍋島家に伝わった、ひな人形と同じく繊細で高度な技術が使われているなど、象牙細工にひな人形との共通点が多いことが今回の展示の決め手になった。華やかでかわいらしいひな人形とともに、繊細でリアリティある象牙細工も楽しんでほしいと思った」と話す。
展示中の象牙細工はいずれも「モデルになったものの質感が伝わる」(池田さん)もの。日光東照宮の「三猿」をモチーフに猿一匹一匹の毛並みや指の関節の動きを細かく表現した「三猿」、彫刻をほどこした象牙に色を付けることで皮の柔らかさや果実の質感をリアルに再現した「バナナ」などが展示ケースに並ぶ。池田さんによると、展示品を見た来場者からは「象牙で作っているとは信じられない」「リアルな中にユーモアがあって楽しい」という声が上がっているという。
池田さんは「象牙細工の繊細さや美しさを楽しむもよし、象牙細工がどうやって鍋島家に伝わったのかを学びながら楽しむもよし。何通りもの楽しみ方ができる展示になっている。ぜひ来場して、さまざまな視点から鍋島家の宝物に思いをはせてほしい」と呼び掛ける。
開館時間は10時~17時。入場料は300円、小学生以下は無料。3月31日まで。