佐賀県立博物館(佐賀市城内1)で現在、テーマ展「最上大業物(おおわざもの) 忠吉と肥前刀」が開催されている。
鎌倉時代から1876(明治9)年の廃刀令発布まで肥前国(現在の佐賀県と長崎県)で作られた肥前刀。佐賀藩主鍋島家のお抱え刀工である肥前忠吉と息子の近江大掾忠広(おうみのだいじょうただひろ)、その子孫らによって、現在の佐賀市長瀬町で作られた。江戸時代の刀剣に関する書物「懐宝剣尺(かいほうけんしゃく)」ではその切れ味について、「最上大業物」として最も高い評価が下されている。
学芸員の川副麻由美さんは「肥前刀展示は2002年の企画展『よみがえる肥前刀』以来17年ぶり。来場者アンケートでも肥前刀をメインに据えた展示を望む声が多かった」と話す。
同展の目玉として、オンラインゲーム「刀剣乱舞」で4月24日に始まったイベント「特命調査 文久土佐藩」で実装され、ツイッターで話題となった「肥前忠広」の銘の刀剣のうち、江戸時代中期に近江大掾忠広が作ったものを展示する。
川副さんによると、今回の展示期間中のタイミングで「刀剣乱舞」に「肥前忠広」が実装されたのは「完全な偶然」で、展示を始める数日前にイベントの存在を知ったという。川副さんは「ゲームに肥前忠広が実装されたと聞いた時には『やっぱり』という思いもあったが、それ以上に展示のタイミングとイベントが丸かぶりしたことにとても驚いた」と話す。
川副さんは「ゲームの影響もあってか、今回の展示では若い女性の来場者も多く目にする。来場者アンケートに東京や神奈川などの地名を目にし、肥前刀が幅広い世代で愛されていることを知り、驚くのと同時にありがたくも感じる。刀は日常から遠く離れた存在になってしまったが、現代の私たちにも感じられる凜とした美しさがある。かつての『実用品』ではない『芸術』としての魅力を伝える展示なので、足を運んでほしい」と呼び掛ける。
開館時間は9時30分~18時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場無料。7月15日まで。