佐賀市の中心部・呉服元町のストリートに屋台風の露店が軒を連ねる「呉服元町ストリートマーケット」が11月3日に開かれた。主催は「マチノシゴトバCOTOCO(コトコ)215」(呉服元町2)と「ワークヴィジョンズ」(東京都品川区)。
かつて「元町銀座」とも呼ばれ、商店街として多くの買い物客で連日にぎわっていた呉服元町地区。しかし平成に入って以降は次第に人通りが少なくなり、アーケードが撤去され、今はシャッター街になっている。佐賀市出身で現在、同地区に佐賀オフィスを構える「ワークヴィジョンズ」社長の西村浩さんは「少年時代は商店街でよく遊んだが、佐賀に帰省するたびに、あまりに寂しい町並みにがっかりしていた」と振り返る。
思い出深いこの場所にかつてのにぎわいを取り戻そうと、西村さんは「青空マーケット」を今年8月に発案、同社運営のシェアオフィス「COTOCO」の管理人、石橋真太さんと今回のプロジェクトを立ち上げた。市内の農家や雑貨店主らに参加を呼び掛け、7店舗の出店を取り付けた。店を並べるだけでなく、空き地スペースには古本や雑誌を並べた「読書エリア」を設置したり、子どもたちが遊べるように人工芝を敷き遊具をそろえたりするなど、街ゆく人を楽しませるための工夫を凝らして、当日を迎えた。
雲一つない晴天に恵まれ、文字通り青空マーケット日和となったこの日、小さな子どもを抱いた親子連れから年配夫婦まで幅広い世代が集まった。見物に訪れた佐賀市役所職員の野口英史さんは「この人の多さが、日常的になったらいいなと思う。ここに来れば何かある、という面白い街になれば」と感想を寄せた。
石橋さんは「笑顔で街を歩く人たちを見ていると、みんなこの街がよみがえってほしいと願っていると感じた。まず街で働く自分たちが率先して楽しいことを継続的に行えば、この街で楽しい時間を過ごしたい人が集まり、にぎわいが定着するようになるのでは」と手応えを話す。
西村さんは「これまでの『商店街』という形ではなく、広大な『遊び場』として、この街が生き返る可能性を感じた。気の合う仲間が集まり笑顔が飛び交う場所にこそ文化は生まれる。この街の新しい形をこれから自分たちでつくっていけばいいと思う。今後も魅力的なアイデアを具現化したイベントを仕掛けていきたい」と意気込む。