ライブハウス「RAG.G(ラグ・ジー)」(佐賀市松原3)が8月29日、全面リニューアルオープンした。
佐賀市中心街で音楽スタジオを展開する「B-Shuffle(ビー・シャッフル)」が運営する同店。昨年8月末に佐賀地方を襲った豪雨によりホール内のステージ上まで浸水し、アンプやスピーカーなどの音楽機材が使用不能になるなどの被害を受けた。多くの音楽関係者から復旧作業など支援を受けて翌9月末に営業を再開したが、今後の水害被災の可能性を考え、当初は近隣に移転を計画。今年5月のオープンに向け工事を始めていた。
しかし、新型コロナウイルス感染症が国内で広がり始め、全国のライブハウスでも感染が相次いで確認された今年3月以降、同社が運営する全店でのライブイベントの中止や延期を決め全店休業し、その後2店舗を5月末に閉店した。移転予定店舗の工事も中断した。経営状況が厳しい中、社長の吉田由美子さんは演奏の場を失われた音楽関係者の元気がなくなっていく様子を感じ、「昨年の水害の時に助けてもらったお返しをしたい」と休業期間を利用して、現在の「RAG.G」とバーコーナー&フリースペース「Live&Bar(ライブアンドバー)417」のリニューアルを決めた。休業中でも前を向いて進んでいることを共有しようと考えたという。
6月初旬から約3カ月かけてリニューアルした新たな「RAG.G」は、ステージを過去の浸水クラスでも対応できるよう高さを上げ、ホール南側の10カ所の窓を全開できるように改めた。これまでエントランスにあったバーコーナーをホール内に移動し、エントランスのトイレを増設。楽屋は従来の約1.5倍に拡張、楽屋用のトイレを新設し、客とは別の入り口とステージへの動線を確保した。これまで黒だった内装を白基調に改め「暗いと言われていたライブハウスのイメージを一新した」(吉田さん)という。建物南の外壁も改めて塗装し、リニューアルを機に改めた「RAG.G」のロゴを配置した。
吉田さんは「昨年の水害では倒産もよぎったが、本当に多くの人の助けがあって続けることができ、今度は私たちの番だと思った。当初はステージの高さを上げるくらいの予定だったが、コロナ禍の対策も含め、ミュージシャンやお客様に安心して頂ける店作りにこだわった。『RAG.G』の使いづらい部分が全て解消でき、今後に向けて形に残せたと思う。工事の途中経過も積極的にSNSで発信し、関係者やお客様に元気や希望を持ってほしかった。またみんなが集まる場所として待っている」と話す。
今後、無観客ライブを行いながら、9月中旬から入場人数を制限したライブを再開する予定。