佐賀大学(佐賀市本庄町)と木村情報技術(佐賀市卸本町)が3月20日、人工知能(AI)による学生支援システムを共同開発することを発表した。
医療従事者向けのウェブ講演会ライブ配信事業を手掛ける「木村情報技術」は、2016年から人工知能(AI)「IBM Watson(ワトソン)」を活用したシステム開発を始め、これまで製薬会社へのコールセンター支援システムや医薬情報担当者向けの社内問い合わせシステムを構築してきたという。
今回、共同開発するのは「次世代ポートフォリオシステム」「学内お問い合わせAIシステム」「リクルート支援システム」「高大連携システム」の4システム。
「次世代ポートフォリオシステム」は、履修科目情報や定期試験結果、研究結果などの「学修情報」、サークルや学内活動、ボランティアなどの「学生生活情報」、健康診断データやメンタルデータなどの「パーソナル情報」を学生ごとに統合的に管理し、学生の目標達成や面談に役立てる「ポートフォリオ」にAIを組み合わせ、性向分析や適職分析に活用するもの。2011年から運用してきたこれまでの「ポートフォリオ」を基に、あらためて共同開発に取り組み、今年夏以降の運用開始を目指す。
今年7月から運用を始めるという「学内お問い合わせAIシステム」は、「電車の延滞で授業に遅れたらどうなる」など質問内容を会話形式で入力すると、質問回答のデータベースや会話ログからAIが自動的に回答する。各種手続きや申請での利便向上を図る。
「リクルート支援システム」は今年8月以降の運用開始を目指し、会社説明会動画配信とAIを活用した質疑応答をセットにした会社紹介コンテンツを用意、学生のポートフォリオ情報を基にAIを活用した職業適性分析や企業とのマッチングにつなげる。
「高大連携システム」は、高校生向けに大学のPR動画の配信や模擬授業の実施、入試情報などの質問にAIを活用して答えるなどの機能を予定する。
佐賀大学の宮崎耕治学長は「大学間の競争が激しくなる中、AIを活用し、学業や就職活動で学生にとってのベストマッチを目指したい」と話す。「AIやIoTなど新しい技術開発で企業との共同研究を受け入れることで、これらに強い大学を目指したい」とも。
木村情報技術の木村隆夫社長は「出身の星薬科大学(東京都品川区)でもAIを活用したシステム開発を発表したが、総合大学では今回が初めて。地元に貢献しながらシステムへの実証実験を繰り返し、いずれは各地の大学への横展開も視野に入れている」と話す。