特集展示「鍋島侯爵(こうしゃく)のたからもの ちいさなクルマたち」が現在、佐賀藩主・侯爵鍋島家伝来品の歴史博物館「徴古館(ちょうこかん)」(佐賀市松原2)で開催されている。
「徴古館」に展示する13代・鍋島直泰や愛車「イスパノ・スイザK6」の紹介
徴古館は、鍋島家12代当主直映(なおみつ)が1927(昭和2)年に開設した佐賀県内初の博物館。1945(昭和20)年に建物接収により閉館したが、1997(平成9)年に同館建物が国登録有形文化財となり、1998(平成10)年に博物館機能を再開。現在は、公益財団法人鍋島報效(ほうこう)会が旧佐賀藩主・侯爵鍋島家伝来の歴史資料・美術工芸品を公開する企画展など行なっている。
今回の企画では、直映の嫡男・13代鍋島直泰が1960(昭和35)年~1981(昭和56)年に収集した約150点のミニカーを、今年の「佐賀城下ひなまつり」のテーマ「たからもの」に合わせ初めて公開展示する。自動車愛好家として知られた直泰は、フランスの高級車「イスパノ・スイザK6」を1935(昭和10)年にボディーなしで輸入し、自らデザインしたボディーを約半年かけて日本の職人に製作・架装させた。その後も、塗色の変更など改良を重ねながら乗り続けたという。この車は1983(昭和58)年から佐賀県立博物館1階ホールに展示された後、2007(平成19)年からトヨタ博物館(愛知県長久手市)に展示されている。
今回、展示するミニカーは、直泰の愛車と同じ「イスパノ・スイザ」のほか、「ロールスロイス」「ブガッティ」などのクラシックカーや、人形劇「サンダーバード」に登場する「FAB1・ペネロープ号」や2階建てバスなど。イタリア「リオ」やフランス「ソリド」、イギリス「マッチボックス」などの海外のミニカーメーカーのものを当時、直泰が収集したもの。ミニカーの箱や車体の裏には、購入年月日や購入場所など、直泰のメモが残されているという。
主任学芸員の池田三紗さんは「直泰の『たからもの』のミニカーの状態を慎重に確認しながら準備するのが楽しく、同じように見える車も細かい違いがあり、見比べるもの面白く、車好きの直泰がどのような気持ちでこれらのミニカーを眺めていたのか思いをはせてしまう。自分だったらどの車が好きかを選びに足を運んでほしい」と話す。
開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は500円(佐賀城下ひなまつり共通券800円、中学生以下無料)。3月20日まで。