高齢者施設で移動販売を行うスイーツ店「merci(メルシー)」が佐賀市内にオープンして3カ月がたった。
店主の山田季里さんと、小学校からの同級生の糸山萌々伽さんが店を切り盛りする。元看護師の山田さんは、趣味の菓子作りを生かし、人に幸せを与えられる仕事がしたいと、福岡の製菓専門学校で学び、レストランやカフェ、ケーキ店など複数の飲食店で経験を積んだ。調理師、栄養士の資格を持ち病院や施設で調理スタッフの経験があるという糸山さんは、勤務先の施設で介護業務も経験した。
2人がスイーツ移動販売店出店を決めたきっかけは、介護施設入所者の外出機会の減少を知ったことから。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出がさらに難しくなったことで、入所者に楽しみを持って生活してもらおうと、山田さんがスイーツ作り、糸山さんが介護業務経験を生かした移動販売店の営業を昨年12月22日に始めた。
商品ラインアップは、クッキーやパウンドケーキ、カップケーキなど、事前に注文を受け用意。現在、2週間に1度、佐賀市内の高齢者向け住宅で訪問販売を行なっている。
このほか、「騒がしくなくゆっくりくつろいでもらえる場所を」との思いから、民家を生かした住所非公開の紹介制カフェを昨年12月10日に出店。クッキー、キッシュ、フランスの伝統菓子「ウィークエンドシトロン」を販売する。ドリンクはノンアルコールカクテル「モクテル」などを用意。テークアウトにも対応する。
山田さんは「私たちがやりたかったことに近づいた。施設利用者さんが私たちのスイーツを楽しそうに買い物している様子を見るとうれしい。紹介制カフェも少しずつ広まっていけば。いずれはランチ営業も考えたい」と話す。
紹介性カフェの営業時間は金曜~日曜=19時~23時。