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佐賀で音だけで演劇を楽しむ「見えない演劇」 安倍公房と芥川龍之介の短編2作品を上演

第1回公演で安倍公房の「時の崖」を上演した「演劇家」の青柳達也さん(奥)と薩摩琵琶奏者の北原香菜子さん(手前)

第1回公演で安倍公房の「時の崖」を上演した「演劇家」の青柳達也さん(奥)と薩摩琵琶奏者の北原香菜子さん(手前)

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 アイマスクを着け、声や体の動きの音や空気の揺れで演劇を楽しむ「見えない演劇」第2回公演が8月8日、古賀空手道場(佐賀市高木町)で開催される。

立ち上がり、観客席のすぐ近くまで動く場面もあった、「見えない演劇」第1回公演の様子

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 佐賀県を拠点に活動する「演劇家」の青柳達也さんと、薩摩琵琶奏者の北原香菜子さんが、演劇での声や体で鳴らす「音」と、薩摩琵琶の奏でる「音」のそれぞれの技術でコラボレーションしたいと公演を企画。今年3月に牛津赤れんが館(小城市牛津町牛津)で第1回公演として、作家・安倍公房のボクシングをモチーフにした短編作品「時の崖」を上演した。

 今回は2人が通っていた空手道場を会場に、舞台を中心に円形に客席を配置。「音(こえ)で誘う、ものがたり」をテーマの2部構成で、第1部は第1回公演で上演した「時の崖」、第2部は芥川龍之介の短編「桃太郎」を上演する。作品はいずれも大正から昭和後期にかけて活躍した文豪の「言葉が持つ美しさに触れる機会にしたい」という思いから選び、「桃太郎」は「誰もが知る昔話が、芥川の手にかかるとこう描かれるのかという驚きを感じてほしい」(北原さん)と特に選んだという。「絵本などで知られている姿と一味違う登場人物や、『そこまで言っちゃう?』とびっくりするくらい皮肉屋なナレーター・芥川の視線が入れ替わりながら進んでいく作品。青柳さんの声を借りて物語を繰り広げる芥川の姿をイメージしてほしい」と北原さん。

 青柳さんは「音や声で魅(み)せる『見えない演劇』そのものはもちろん、自分たちより昔を生きた作家たちが文字として残した美しい日本語にも触れる機会になれば。彼らの作品やその中の言葉には触れたことがないという人にも、ぜひ来場してほしい」と呼び掛ける。

 北原さんは「ただ音を聞くだけの朗読ではない、動きや色んな感覚を総動員する演劇で、アイマスクの暗闇の中だからこそ、音や空気の震えのような視覚では感じられないものを360度全身で体感できる。文豪やその作品に込めた声と、その声に寄り添うように、ときに問い掛けるように演奏する琵琶の音を楽しんでほしい」と笑顔を見せる。

 入場料は、各部=2,000円。第1部・第2部通し=3,000円。定員25席(事前予約制)。予約は専用フォームより受け付ける。

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