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「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」が8周年 佐賀城本丸歴史館での記念公演をレポート

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8周年記念公演に出演した「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」メンバー

 歴史演劇ユニット「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」が9月13日、佐賀城本丸歴史館(佐賀市城内2)で結成8周年記念公演を上演した。

 プロデューサーの桜井篤さんが「幕末から明治にかけて活躍した佐賀出身の賢人の活躍の裏には、佐賀の風土や友人、先輩、師匠の影響があったことを伝えたい」と、現在の代表で役者の青柳達也さんと共に立ち上げた。2012(平成24)年2月に佐賀観光協会(当時)が主催したナイトウォークイベントを皮切りに、現在までに約2400回の歴史寸劇を上演している。

 8周年を祝うような晴天に恵まれた記念公演のこの日は全5作を上演。今回初の試みとして、上演前に『賢人』のミニトークコーナーを設けたほか、佐賀県が主体で実施する演劇や音楽ライブの映像配信の取り組み「LiveS Beyond(ライブスビヨンド)」を通じて公演の全日程をライブ配信した。

 トップバッターを飾った作品は「もぐら打ち」。人と人の触れ合いのなかで「賢人」が育ったことをテーマに、佐賀の冬の伝統行事「もぐら打ち」に連れ立って出かけた幼い大隈重信と大木喬任が、後に自分たちを導く「師匠」・枝吉神陽と初めて出会う様子を描く。昨年5月に結成した「賢人ジュニア」1期生の坂本煌也(こうや)さんと姫野真護さんが、おもてなし隊メンバーから演技とおもてなしの心を学び、成果を披露した。桜井さんは「この物語ではまだ幼い大隈と大木。彼らの年齢はちょうど煌也くん、真護くんと重なる。今じゃないと演じられない心の動きがあるのではと思い、上演を決めた」と話す。

「もぐら打ち」より、幼い大隈重信と大木喬任を見守る師匠・枝吉神陽

 続いて上演されたのは、佐賀藩きっての天才・枝吉神陽と秀才で実直な弟・副島種臣を主人公にした「夜ば、あけとけ」、佐賀藩十代藩主・鍋島直正が隠居した後のある日を描く「茶飲みに来んか?」。それぞれ枝吉の義祭同盟創設170年、直正の佐賀藩主就任190年を祝って上演された。「夜ば、あけとけ」では、上演前に理事長の中本英一さんが「義祭同盟」を解説。「天皇を中心に全ての人々が平等である」という思想をもとにした秘密結社であったことなどを語った。「茶飲みに来んか?」では、メンバーの一人で演出を担当した西正(にしまさ)さんが、演出の苦労や出演メンバーの裏話を、笑いを混じえて紹介。出演したメンバーが上演後に「スタンバイしているときに笑ってしまった」と明かす一幕もあった。

 4番目の演目は「故郷(くに)ば錦で」。1885(明治18)年に現在の鹿島市で生まれ、後に「日本青年団の父」となる田澤義鋪(よしはる)を主人公にした演目。「令和2年7月豪雨」で被災した鹿島市を勇気づけたいと、おもてなし隊に加え、田澤の幼少期を坂本煌也さん、青年期を稲富雄仁さんが演じた。

 偶然出会った幼い田澤に「夢を叶えた未来のことを語り、たくさんの人と力を合わせなさい」と優しく助言する佐野常民と、東京大学の学生となり自分を尋ねてきた田澤を「人の一生は自分と家族や友人、周りの人物たちとの人生の重ね合わせ。自分と出会い、かかわった人々のことを心から思い、信じ、一生懸命に働け!」と力強く鼓舞する大隈重信。人生の先輩として対象的だがエールを送る賢人たちの言葉に聞き入る観客は、みな田澤と同じ心持ちになったようだった。稲富さんは上演後「舞台上には自分が演じた田澤と大隈重信の二人だけ。観客の視線が集まってすこし緊張したけど、無事に最後まで演じきれてよかった。『八賢人』以外にもいる佐賀の偉人の一人・田澤のすごさが、自分の演技から少しでも伝わっていたら嬉しい」と話す。

「故郷ば錦で」より、早稲田大学の学長・大隈重信(左)の熱い言葉に聞き入る田澤義鋪(よしはる、右)

 最後を飾った演目は「あまねく人を 2020バージョン」。幕末の佐賀で流行病の感染を止めるため、新たな医学を広め、人々を助けるために闘った「医人」たちの姿を描く。災害や新型コロナウイルス感染症が150年前の幕末期のように人々を苦しめた今年。公演を見てくれる人々に元気を与えようと、2015(平成27)年に上演した同作に修正・加筆をして上演した。

 普段は見られない作品ということもあり、会場にはこの日最多となる110人もの観客が集まった。さらに上演前、佐賀県の山口祥義(よしのり)知事がサプライズ登壇し、おもてなし隊にエールを送る一幕もあった。

 上演が始まると、会場は水を打ったように静まりかえり、弱いもののため、苦しむ人々のために自らの地位や身の安全も省みず奔走した人々の姿に惹き付けられた。「好生の得は、万里にあまねかし(命を尊ぶ心が、生きとしいけるものすべてに広まるよう)」という「書経」の一節を引用した台詞でクライマックスを迎えると、会場には万雷の拍手が響いた。

「あまねく人を」より、日本で初めての種痘(現在のワクチン)摂取の瞬間。

 全ての公演を終えた後、10月以降の活動継続決定を発表。ファンからの安堵と祝福の拍手に、青柳さんが思わず目を潤ませる一幕も。最後は山口知事と集まった観客と皆で「佐賀に来るなら日曜日!さが、最高!」と声を合わせて、この日の公演は幕を閉じた。

山口知事と観客と共に「佐賀さいこう!」のコールで幕を閉じた。

 桜井さんは「コロナ禍の観客減で10月以降の活動継続が危ぶまれていたなか、継続できるようになったのも観客の皆さんのおかげ。今後とも県内の方には地元の歴史と誇りを、県外の方には『佐賀の歴史は日本の財産』というメッセージを伝えていくので、ぜひ日曜日には何度でも本丸に足を運び、楽しく味わい深い時間をすごしてほしい」と笑顔を見せる。

 熱い思いと歴史寸劇を武器に佐賀城本丸を彩る八賢人。9年目へと踏み出した彼らの背中を、より一層応援していきたい。

 

※ 新型コロナウイルス感染症防止のため、演者の前に透明ビニールシートを張っていることから、写真写りに少々影響があることご了承下さい。

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