佐賀大学農学部(佐賀市本庄町)、佐賀県農林水産部(城内)、「オプティム」(与賀町)は6月30日、3者で結ぶ「IT農業に関する連携協定」の活動報告を行った。
農地の害虫検出や農薬散布に特化した「アグリドローン」を三者連携での実証実験で活用する
「佐賀からITを使って実現する 楽しく、かっこよく、稼げる農業」をコンセプトに、農業生産者や消費者に役立つ技術開発をしようと昨年8月、協定を結んだもの。佐賀大学農学部の渡邉啓一学部長、佐賀県農業試験研究センターの田崎博文所長、オプティムの菅谷俊二社長が佐賀大学でこれまでの取り組みを報告した。
農薬資材消費などの経費や労力などを減らし、品質や収量、安心への信頼を増やし、農業売り上げや利益を増やすために、それぞれに指標を設け実証実験を始めた3者。オプティムが開発した農業用に特化した無人航空機「アグリドローン」を使った害虫の検出や農薬散布、遠隔操作しながら農作業の支援を行うウエアラブル機器「Remote Action」を使った作業支援と作業記録の蓄積、それらの取り組みで育った野菜をスマートフォン通じて消費者に紹介する「スマートやさい」など、連携締結で進む取り組みを報告。6月には「アグリドローン」を使い、夜間の無農薬害虫駆除に初めて成功した。
今年4月には農業人材育成を目的に同大学の新たな教養教育「インターフェース科目」の一つとして、「2年間でできる『がばいベンチャー』の作り方」講座を開講。農業独立者の育成も始め、同連携は学生にも農業の視点を増やしている。
佐賀大学の渡邉さんは「具体的に実証実験をやってみようという場面が多く、思った以上の成果が得られることが多かった」、佐賀県の田崎さんは「持ち掛けられる実験のスピード感には驚いた。連携を通じて今後の研究の進め方にもいい効果となった」、オプティムの菅谷さんは「IT企業では持っていない農業に関する知見の豊富さに驚いた。統計科学という点で発展途上の農業に今後も3者で『楽しく』取り組んでいきたい」と、それぞれ話す。