幕末維新期に活躍した「佐賀の八賢人」の活躍を現代に伝える演劇ユニット「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」による歴史寸劇が3月1日、公演400日、通算2000回の公演を迎えた。
恒例となった、公演前に自己紹介する鍋島直正役の後藤峰彦さんを前に観客が頭を下げる場面
佐賀県内で演劇に携わる役者が集まり2012(平成24)年に結成し、現在のレギュラーメンバーは8人。佐賀城本丸歴史館(佐賀市城内2)で毎週日曜の10時から5回上演している。毎回3人が、幕末維新期の佐賀藩を舞台にした史実を基にした創作劇を演じるスタイルは創立当初から変わらず、ファンサービスとして終演後の記念撮影に応じるほか、演技中の写真、動画の撮影も許可してファン層拡大のためにSNSへの投稿を呼び掛けている。
この日行われた演目は、佐賀藩第10代藩主鍋島直正、日本赤十字社を設立した佐野常民、初代文部卿を務めた大木喬任が登場する「散るもまた良し」。直正が対照的な人生を歩む家臣の佐野、大木に梅の花の香りがする酒を振る舞いながら歌を詠み、2人に「人はいずれ散る。命あるうちに香りを残し、己の花を咲かせよ」と諭す。
2000回目となった5回目の公演では、会場となった「御座間(ござのま)」を埋めた満員の観客が、記念の演目を見守った。公演終了後には和菓子店「鶴屋」(西魚町)が用意した佐賀の八賢人おもてなし隊の刻印が入った特製丸ぼうろを出演者が観客に振る舞った。
佐野役の鷹巣将弥さんは「この役を演じるごとに次はもっと頑張ろうという気持ちにさせてくれる。区切りを迎えここからが本当のスタートと思い精進したい」と意気込む。
大木役を演じる小松原修さんは「多くの方が関わってくれたおかげで8年間続けることができて感慨深い。3000回に向けて心を込めて一つ一つ演技を積み重ねたい」と前を見据える。
ユニット結成時から直正役を務める後藤峰彦さんは「当初はこんなに長く続くとは思わなかった。イベント自粛が相次ぐ中、多くのお客さんに観劇してもらいありがたい。佐賀県民の誇りのよりどころとして、この佐賀城本丸で偉人たちの生きざまを伝えていきたい」と思いを込める。