レゴブロック約7万ピースで製作した蒸気船「凌風丸」の展示が12月9日、佐賀市佐野常民記念館(佐賀市早津江津)1階コミュニティー広場で始まった。
日本初の国産実用蒸気船「凌風丸」は1865年、佐賀藩が設けた理化学研究所「精煉方」(せいれんかた)で主任を務めていた佐賀藩士・佐野常民らが建造した。
幕末維新150周年に合わせ、世界遺産「三重津海軍所跡」の魅力を感じてもらい、特別な一日を過ごしてもらおうと、佐賀県・肥前さが幕末維新博事務局と同館が企画した「#(ハッシュタグ)みえつではじめて」プロジェクトの第1弾として、レゴブロック愛好家で構成する「レゴユーザーグループSakura」副代表の森田竜也さんにレゴブロックで「凌風丸」の製作を依頼した。森田さんは「依頼を受けたときは作れるか少し不安だったが、船のモチーフがもともと好きだったことと国内最大級の作品に挑戦してみたいという思いもあった」と話す。
今回レゴブロックで再現された「凌風丸」は全長約5メートル、幅約1メートル。実際の船の約3分の1サイズもあり、レゴブロック作品の中では国内最大級だという。三重県にある森田さんの自宅で各パーツを製作し佐賀へ運搬、同館内で最終組み立てし、12月9日の「お披露目」当日昼ごろに完成した。森田さんは「最初は自宅の和室で製作を進めていたが、凌風丸が入りきらなくなったことから、隣の仏間との仕切りを外し、スペースを広げながら作った。完成に近づくと、今度は凌風丸の重さで畳が抜けてしまうかもしれないと、車を動かし、ガレージ内に作品を移動。三重からの移動で壊れないように、最後の組み立ては記念館の中で行った」と製作を振り返る。
森田さんは「来場者の方々が完成した凌風丸を見て驚かれたり、喜ばれたりする姿を見ることができたのがうれしかった。佐野常民の偉業を記念し、学ぶ場所に自身の作品を置いてもらえてありがたい」と笑顔を見せる。
同館の諸田謙次郎館長は「立体感や迫力が伝わりやすく、大人も子どももなじみのあるレゴブロックという素材で凌風丸がよみがえった。ぜひ来館して作品の迫力を感じるとともに、精煉方での活動をはじめとした佐野の業績にも興味を持ってほしい」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時。12月29日~1月3日休館。観覧無料。3月15日まで。