特別展「肥前さが幕末維新の『志』 -北へ南へ、佐賀人が道を拓いた-」が11月1日、佐賀城本丸歴史館(佐賀市城内2)外御書院と御小書院で始まった。
現在開催している「肥前さが幕末維新博覧会」に合わせ、メイン会場「幕末維新記念館」(佐賀市城内2)の展示テーマ「技」「人」「志」になぞらえた3部作展示企画の最後を飾る同展。
「科学技術の『技』も当時活躍した『人』も、全ては『志』があったから生まれた」をテーマに、札幌の都市開発に尽力し「北海道開拓の父」と呼ばれた島義勇と、沖縄で那覇区長として港の開削や鉄道敷設にも関わったほか硫黄鳥島の火山噴火から島民全員を救った齋藤家11代当主にして警察官・齋藤用之助の2人にスポットを当てる。
会場は、パネルや映像を使った展示を行う外御書院と、2人に関する実物資料を展示した御小書院の2部屋で構成する。外御書院は「2人の業績と現在の日本へのつながり」をテーマに、佐賀を遠く離れ活躍した2人の業績や実際に島が歩いたコースを地図上に表したパネルを展示するほか、現在、佐賀県が主催している、札幌・沖縄の中学生との交流学習事業のダイジェスト映像も放映する。同館企画学芸課の竹本翔さんは「島義勇や11代齋藤用之助がそれぞれの地で熱い『志』をもって活躍したこと、その『志』が現在まで続く2県との交流事業につながっていることを知ってほしい」と話す。
御小書院では、島が北海道を歩いて調査した際の記録「入北記」の現物展示のほか、「島義勇肖像画(副島種臣賛)」を国内で初めて展示する。「島のいとこ、副島種臣の書が寄せられているのは珍しいので注目してほしい」と竹本さん。NHK大河ドラマ「西郷どん」でも触れたという、大久保利通と大隈重信に宛てられた書簡、11代用之助の履歴書や大隈重信から送られた辞令書、開削した沖縄港を描いた絵など計54点を並べる。
竹本さんは「これまで開催した『技』展、『人』展と一味違い、150年前に佐賀藩を飛び出し活躍した2人の業績を振り返りつつ現在やこれから先の未来の佐賀や北海道、沖縄にも思いをはせられる展示になっている。幕末から明治を生きた2人が残した熱い『志』が現在にも続いていることを感じていただければ」と来場を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~18時。入場無料。12月2日9~31日休館。来年1月14日まで。