佐賀大学美術館(佐賀市本庄町本庄1)で8月22日より、企画展「見えた!?三重津海軍所 佐賀藩海軍と特注磁器の謎」が開催される。
「どのような展示になるかは開催されてからのお楽しみ」(鬼塚さん)という、準備中の展示の一部
佐賀大学の田端正明名誉教授らが佐賀県立九州シンクロトロン光研究センターの協力の下、「三重津海軍所」(佐賀市川副町早津江津)の跡地発掘調査で出土した海軍特注磁器を科学的見地から分析した結果と考察を、実物の出土品とともに紹介する同展。
「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産登録されている「三重津海軍所」は、幕末に佐賀藩が創設した西洋式海軍の拠点で、蒸気船のメンテナンスやボイラーの製作を行った。佐賀大学美術館職員の鬼塚美津子さんは「出土した磁器は、当初作られた年代や窯元もはっきりしないものばかりだった。しかし近年の研究で、磁器の構成物質の比率などから少しずつ解明されてきた。その成果を発表したいとの声を受けて展示を企画した」と話す。
同展では三重津海軍所跡から出土した佐賀藩海軍使用の磁器約140点を展示するほか、磁器の生産地や製作年代の特定に関する研究、特注磁器だけに描かれた模様の種類分析などをパネルで「かなりマニアックに」(鬼塚さん)紹介する。期間中、同展で研究成果を紹介する佐賀県立九州陶磁文化館の德永貞紹さんらによる記念講演会やギャラリートーク、特注磁器に描かれた模様を絵付け体験を通して学ぶワークショップ「描いてみよう灘越蝶文(なだごしちょうもん)」も開催する。
鬼塚さんは「器の形状や模様、色合いなどについて文献や窯跡に一切の手掛かりがない中、科学的な観点から特注磁器の謎を解き明かそうとする取り組みを分かりやすく伝えるように工夫している。本館でも珍しい『歴史と科学』に関する展示なので、ぜひ足を運んでほしい。『見えない世界遺産』の少しずつ見えてきた一面を同展で感じ取ってもらえれば」と呼び掛ける。
開館時間は10時~17時(入場は16時30分まで)。入館無料。月曜休館(月曜が祝日の場合、火曜休館)。9月17日まで。