ゆずこしょうメーカー「竹下商店」(佐賀市川副町犬井道)が5月9日、漫画家・大石まさるさんが描き下ろした漫画「夏味蟹漬(なつあじがんづけ)」を公開した。
同社専務の三木雄太さんと社員の久保田翔さんは2019年9月から、有明海沿岸地域で昔から食べられている郷土料理「蟹漬」の歴史の研究などに取り組んでおり、研究の中で、その奥深さに触れ、「蟹漬」を通じて、地元・川副町で水産加工業を行うことの意義に触れていると感じたという。
「『蟹漬』のことをもっと知ってほしい」と思った三木さん。ブログを通じて発信していたが、学生のころから現在まで継続して東京都内の「往来堂書店」でコミックの選書担当を続けるほどの漫画好きと漫画家とのつながりを生かし、漫画でより多くの人に親しみやすく伝えたいと考えたという。三木さんは、漫画「みずいろ」「りんりんD・I・Y」「水惑星年代記」などの作品を手掛けた大石さんに漫画の制作を依頼。大石さんは昨年9月に佐賀県を訪れ、「シオマネキ」を手作業で捕まえる様子や「蟹漬」を熟成させる様子に加え、佐賀県の風景などを取材した。同社が漫画家に依頼して同社の商品に関わる作品を公開するのは、漫画「そうだ、食べ放題いこう。」「ごほうび食堂」などを手掛ける西つるみさんが昨年7月と9月に制作した作品「コミックゆずこしょう」に続き2人目・3作品目。
今回公開した漫画は、福岡から佐賀に戻ってきた洋菓子店の娘・ナナミが、シオマネキ捕りを手伝い、1年物の「蟹漬」をご飯に合わせて食べ、「がーばいうまか」「こいが佐賀ん夏味ばい」(以上、原文ママ)と締めくくるストーリー。漫画の中で「竹下商店版『蟹漬』のできるまで」を紹介している。
三木さんは「公開から数日で既に多くの方に漫画を読んでもらい、改めて『蟹漬』に興味を持ってもらえて良かった。注文いただいた方もいらっしゃった。これまでの研究や漫画制作を通じて、有明海の環境変化やシオマネキを取りに行く人の減少など『蟹漬』の課題も再認識した。今後も多くの方に知ってもらえる取り組みを続けていきたい」と話す。
同社ホームページとツイッターで閲覧できる。