佐賀県の建築士で構成する4団体に所属する「応急危険度判定士」が4月25日から合計8日間、各地から集まった判定士と共に熊本地震被災建物の判定活動を行った。
判定活動を行ったのは、「佐賀県建築士会」「佐賀県建築士事務所協会」「日本建築家協会」「日本建築構造技術者協会」に所属する佐賀県内の民間の建築士や設計士。各団体からのボランティア参加呼び掛けに民間判定士が応じた。
応急危険度判定とは地震で被災した建物を調査し、その後の余震などでの倒壊の危険性を速やかに判定するもので、二次的災害の防止と被災者の精神的安定にもつながるという。大規模な地震時には行政職員だけでの判定には対応に限界があるため、各都道府県が民間建築士などに講習の受講を呼び掛け「応急危険度判定士」の養成を行っている。
4月14日の前震と4月16日の本震を受け、「応急危険度判定士」の派遣依頼に備え18日から19日にかけて被災地の把握と民間判定士の活動日程調整など支援体制づくりを準備。22日に熊本県から佐賀県を通じて派遣要請を受けたことから、25日から5月5日にかけて計8日間、延べ78人の民間判定士が熊本市・宇城市・菊池市・益城町・甲佐町・西原村・南阿蘇村での応急危険度判定活動を行った。被災地全体の約4万軒のうち、約1000軒を判定したという。
今回の派遣の取りまとめを行い、実際に4回の判定士活動をした「佐賀県建築士会」青年委員長の川崎康広さんは「昨年12月に更新講習を受けたばかりで初めての判定活動であり、思った以上の建物被害の大きさに戸惑いもあった。地震後数日で動き始められるのが理想だが現実の初動の難しさも実感した。今回の経験を次につなげ、熊本へのわれわれなりの支援は長く続けたい」と話す。
今後、国や行政の補助が行き届きにくい一般の古民家や神社など歴史的建造物の調査についても、東日本大震災の経験を基に「日本建築士会連合会」が整えた歴史的建築物保全員「ヘリテージマネージャー」を持つ民間建築士派遣の準備も進めるという。