佐賀市を中心に活動する若手ピン芸人・田中幸輝さんが4月5日、「すべり」をネタの中心に据えたお笑いソロユニット「レンタルすべり屋」を立ち上げた。
福岡県小郡市出身で今春、佐賀大学を卒業した田中さんは、在学中から佐賀市中心街の「656(むつごろう)広場」(呉服元町2)で毎月開催されているお笑いライブ「サガコント」などに出演してきた。ローカル芸人として今後の方向性について友人らにアドバイスを求めたところ、「笑いが起きるネタとは正反対の『すべる』ネタを前面に出してはどうか」と提案を受けたという。田中さんは「すべるという芸人として恥ずかしいことを逆手にとって笑いに変えるという芸風で、チャレンジしてみる価値があると思った。このことを話すと、友人たちも驚いた」と振り返る。
田中さんによると、「レンタルすべり屋」は単に自身のネタを披露するだけでなく、宴席の余興などで盛り上げ役と共に壇上に上がり、盛り上げ役が笑いを取れずに「すべった」時に、田中さんがさらにすべる話をして「助け舟」を出すことで、最終的に笑いを引き出すという。田中さんは「すべったときに一瞬静まるが、直後に和やかな笑いが起きて、最初にすべった盛り上げ役の人が報われるという『心のセーフティーネット』の役割を果たす。会場にいるみんながハッピーになれる新たな笑いのスタイル」と話す。
「レンタルすべり屋」としての初舞台は4月23日、洋服店「サロンモード」(鹿島市)のスタッフ・関係者の謝恩パーティー。知人の山口賢人専務から直接依頼を受けた田中さんは「活動を始めてすぐにライブの機会をもらいありがたかった。狙い通り、司会者や盛り上げ役のすべりネタを自分のすべりネタでフォローして、会場の笑いを誘うことができた」と手応えを見せた。
田中さんは「素人が笑いを取るのは大変だが、すべることでかえって場がなごむのも、お笑いの面白いところ。お誘いがかかれば、どこにでも駆け付けるつもり。この芸を磨いて、佐賀をもっと笑いで盛り上げたい」と意気込む。