大隈重信記念館(佐賀市水ケ江2)2階企画展室で2月11日、企画展「文化と教育 博覧会からつむぐ日本の未来」が始まった。
1873(明治6)年の「ウイーン万国博覧会」と1878(明治11)年の「パリ万国博覧会」当時の様子を伝えるオーストリアの新聞や日本が設営したブースの紹介パネルなどを展示する同展。学芸員の大坪由季さんは「ウイーン万博への出展を、日本の伝統工芸技術を世界に広めると同時に、海外の文化も吸収する機会と考えていた大隈。彼の狙いや考えに迫るとともに、当時の万博の様子やその後の日本の産業についても知ってもらえたら」と話す。
会場では、ウイーン万博総裁だった大隈重信に副総裁だった佐野常民が送った手紙を展示している。「手紙は1873年5月15日、万博会期中ウイーンに滞在していた佐野常民が日本の大隈重信に送ったもの」と大坪さん。手紙には、日本チーム一行が4月14日にウイーンに到着したことや5月1日の開催初日に向けて設営準備したものの開催に間に合わなかったこと、5月5日にオーストリア皇帝のフランツ・ヨーゼフ1世夫妻がブースを訪問し、日本庭園をじっくり観覧したことなどが書かれている。大坪さんは「ウイーン万博開催当時、政変などで内閣に残り多忙を極めた大隈にとって、佐野からの手紙は日本チームの現地での奔走や感動などリアルな声を知る貴重な資料だったのでは」と当時に思いをはせる。
大坪さんは「『日本という国の代表』として初めて参加し、何もかも手探りで始めたウイーン万博出展。やがて、大隈も関わった日本初の大規模展示会『内国勧業博覧会』や国内の博物館創設案につながっている。佐野からの手紙をはじめ、多くの展示品から日本の『文化と教育』の始まりを感じてほしい」と呼び掛ける。
開館時間は9時~17時(入館は16時30分まで)。入館料は、大人=300円、小中学生=150円。3月24日まで。