大河ドラマ「西郷どん」で佐賀藩出身の初代司法卿・江藤新平を演じる俳優の迫田孝也さんが10月20日、佐賀の偉業・偉人と未来への希望を身近に感じてもらうイベント「第1回さが維新まつり」に参加した。
佐賀城本丸歴史館で、「西郷どん」メインビジュアルのパネルをバックに写る迫田さん
幕末から明治にかけて活躍した薩摩藩士・西郷隆盛を主人公に、西郷とその周辺人物の生涯を描いた大河ドラマ「西郷どん」。江藤新平の同作登場を記念し、放送に先駆け佐賀の人にはひと足先に「生の江藤」を見てもらいたいと佐賀県が招待した。
迫田さんが「佐賀城本丸歴史館」(佐賀市城内2)に登場したのは20日14時。「江藤の『凱旋』を記念し、『西郷どん』本編で使用したものをスタッフの皆さんが晴れ舞台仕様にアレンジしてくれた」(佐賀県庁企画課・円城寺雄介さん)という衣装で登場した迫田さんに、来場客から歓声や驚きの声が上がった。
迫田さんは同館で開催した「大河ドラマ『西郷どん』巡回展」も見学。江藤の「宿敵」・大久保利通を演じる瑛太さんのパネルをじっとにらむように見つめたり、記念撮影パネルの前でジャンプしたりする一幕も見られた。役作りのため、今年7月に佐賀を訪れた際の様子を紹介するパネルも見学した。
迫田さんは「3回の訪問で、詳しく知らないこともある佐賀の皆さんからここまで自分を取り上げ応援してもらえるのはうれしく、思いに応えたくなった。昨年のNHK正月時代劇『風雲児たち~蘭学革命(れぼりゅうし)篇~』カウントダウントークショーのときから佐賀には何か縁を感じる。江藤を演じることで彼の思いはもちろん、佐賀の皆さんの思いも背負っていると思うと背筋が伸びる」と感慨深げに話した。
17時からは「幕末維新記念館」(佐賀市城内2)前の「維新博メインステージ」でトークショーに参加、その場でぐるりと一周回り衣装をファッションショー風に観客に「お披露目」したほか、「江藤新平の役作りの裏側と演じることへの思い」「『薩摩ことば指導』としての自分と『江藤新平』としての自分の違い」について話した。「西郷どん」の江藤出演部分がダイジェストで上映されると、観客は迫力ある演技にじっと見入った。
ステージの最後に「強烈な人物が多い明治新政府の中で、江藤を通じて佐賀の存在感を示せたと思う。自分が演じた江藤に乗っかり佐賀のポテンシャルを発信し、一緒に盛り上げてほしい」と、熱い思いを観客にぶつけた。
18時からは、まつりメインイベントの「さが維新行列」の復路にも参加。ちょうちんの明かりに照らされながら人力車での登場した迫田さんに、復路を見守る沿道の客から万雷の拍手とやまない歓声が響いた。ゆっくりと人力車が進み始めると、掛けられた声の一つ一つに満面の笑みで答えつつ、佐賀の夜道を進み始める迫田さん。
「ありがとー!」などと沿道に向かって手を振り、ドラマで薩摩ことばの監修も手掛ける迫田さんに薩摩ことばで呼び掛けた沿道には「上手!」とうれしそうに声をかけた。カメラを構える人々に向けポーズも取り、シャッターチャンスの提供も欠かさないという「神対応」で人力車からの佐賀の景色を楽しんだ。
18時40分からはまつりフィナーレの「“灯り”の空間演出」点灯式に参加。「未来へのメッセージ」というテーマでコメントを求められると、迫田さんは「ずいぶん近くの未来ですけどね」と前置きした上で、江藤が初登場した翌21日の「西郷どん」の放送をPR。佐賀県の山口祥義知事から「(未来が)近いよ!」とツッコミも受けつつ、行列参加者や観客に向け「いよいよ日本全国に向けて佐賀のポテンシャルを示すときが来た。これから一緒に佐賀を盛り上げて参りましょう」と重ねて呼び掛けた。
点灯式の後、佐賀城本丸歴史館を拠点に活躍する歴史寸劇ユニット「幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」で江藤新平を演じる石井晃一さんと握手を交わし、会場を後にした。