駄菓子問屋「高橋商店」(佐賀市駅南本町)が8月31日、1959(昭和34)年から営業してきた店を閉店し、移転した。
高橋統治さんと妻の梓さんが1949(昭和24)年に佐賀県庁近くで創業した同店。唐人町に移った後、1959(昭和34)年に駅南本町に2階建ての店を新築。駄菓子や玩具を県内の会社に卸販売するほか、店頭販売にも対応した。統治さんが亡くなる直前の1983(昭和58)年から翌年にかけて、地上げによる立ち退き要求があったが、梓さんがこれに応じなかったことで長期間にわたる嫌がらせを受け、当時のメディアで大きく取り上げられた。
梓さんが亡くなった後は長女の弓美子さんが店舗を引き継ぎ営業を続けてきたが、コロナ禍で売り上げの減少に拍車がかかったことから、64年営業してきた同店の建物と土地を手放すことを決めたという。
閉店後、9月7日にいったん高木瀬町へ移転し、当面は電話注文と配達のみで対応。今年中に店頭販売できる場所に再び移転するという。
弓美子さんは「思い出深い店だったが、移転後の営業のことで余韻に浸る余裕はない。昔に比べると売り上げは落ちたが、当店を頼ってくださる人のためにこれからも場所を変えて営業を続けていきたい」と前を向く。