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佐賀大医学部近くにソシオエステサロン 重度障害者・珠ちゃんの基金を元に開設

NPO「ソシオの杜」代表理事の江頭裕美さん(左)と上級ソシオセラピストの松尾直美さん(右)

NPO「ソシオの杜」代表理事の江頭裕美さん(左)と上級ソシオセラピストの松尾直美さん(右)

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 精神的・肉体的・社会的な困難を抱えている人の生活の質の向上を目指す「ソシオエステティック」の専門店「珠ちゃんサロン」(佐賀市鍋島3、TEL 0952-31-1780)が7月6日、佐賀大学医学部近くにオープンした。

ソシオエステティック専門店「珠ちゃんサロン」施術室

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 「ソシオエステティック」は、闘病生活中の人や介護を受けている人、高齢者や社会的苦境にある人に医療機関や社会福祉施設の専門家と協力しながら医療や福祉に関する知識に基づきケアを行うもので、フランスのルネ・ルジエールが1978年に養成機関「CODES」を設立。日本では、日本エステティック協会が2004(平成16)年に「CODES」と契約。2007(平成19)年9月に養成講座を始め、現在、全国に約100人の修了者がいるという。

 サロンを開設したNPO「ソシオの杜」(吉野ヶ里町吉田)代表理事の江頭裕美さんはエステ業界で30年以上の経験を持つ。2005(平成17)年に江頭さんの長男の急性骨髄性白血病による闘病生活を通して「ソシオエステ」を知り、講座を受講。エステ店経営の傍ら、「ソシオエステ」の活動を始め、2015(平成27)年にNPOを設立した。

 今回、サロンを開設したきっかけは生まれつき重度障害があり、福岡市内の福祉施設に入所していた「珠美さん」を訪問したことから。江頭さんによると、1年半にわたる訪問を通して珠美さんの変化を感じたというが、新型コロナの影響で施設への訪問ができなくなるうちに亡くなった。死亡後に珠美さんの父のケアなどで関係が深くなる中、「珠美さんと同じ障がいを持つ子どもや家族のために役立てて欲しい」と珠美さんの父からNPOに寄付の申し出があったことから、寄付金を活用するための「珠ちゃん基金」を立ち上げたという。

 基金は当初、珠美さんの地元や珠美さんが入所していた障がい者施設の利用者へソシオエステを提供する形で活用しようともくろんだが、施設への訪問制限が続いているため、珠美さんの父から「福岡県以外でもソシオエステを活用できる場所が出来るのなら」と承諾してもらい、寄付金の一部を活用して今回、珠美さんの名前を冠したサロンを開いた。

 サロンでは、高齢者向けに体のもみほぐしや福祉・医療・行政への橋渡しを行うほか、抗がん治療中の人向けには、肌や爪の手入れ、眉の描き方・メイクの仕方などのサポートを提供。障がい者向けのアロマトリートメントや介護している人との会話コミュニケーションなども行う。

 江頭さんは「『球ちゃん基金』を通して、佐賀大学医学部の近くに活動できるサロンを設けることができた。これまで色々な人に出会い成長させてもらったことを生かし、弱者に寄り添うケアでソシオエステの裾野を広げていきたい」と意欲を見せる。

 営業時間は10時~19時。日曜定休。

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