「第10回嘉瀬かかしまつり」が10月28日、バルーンフェスタ会場に隣接するバルーンさが駅北側の「嘉瀬川防災ステーション」(佐賀市嘉瀬町)で始まった。
「2019佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」の開催に合わせ、バルーン会場を盛り上げて地域貢献につなげようと地元農家などが作成したかかしを集めてスタートした同イベント。
10周年となる今年は、地元の農家をはじめ、企業や民間団体、佐賀市立嘉瀬小学校(嘉瀬町)、佐賀県立高志館高校(大和町尼寺)も参加し、約140体のかかしが並んだ。主催する「嘉瀬まちづくり協議会」会長の鈴木茂和さんは「バルーン競技が中止になりがっかりした来場者に少しでも喜んでもらえたらとの思いで始めたが、今では『かかしまつり』が目当てのお客さんも増えてきた」と話す。
回を重ねるごとに、その年の世相を反映した作品が見られるようになったという。今回は、「令和おじさん」として話題を博した菅義偉官房長官や安倍晋三首相を模したかかしが数体見られるほか、今年公開された映画「キングダム」に登場する「王騎(おうき)将軍」や人気番組「チコちゃんに叱られる!」に登場する「チコちゃん」ら有名キャラクターも登場。来年開催の東京五輪・パラ五輪を見据え五輪マークを手に持つ「ザ・ドリフターズ」など、ユニークな作品が並ぶ。
今年のテーマである「平成~令和 そして未来へ」に合わせ、時代の流れを感じさせる作品も目立つ。伝統的な「有明のり」の製造過程や「ムツゴロウ釣り」の様子を描写した作品や、三世代が仲良く食卓を囲む昔ながらの家族の光景を描いた作品も見られる。一方で、今年8月に発生した佐賀豪雨災害において災害支援活動に従事した地元消防団をたたえる作品も展示している。
同副会長の北川英俊さんは「かかしの提供者が年々増え、近年は創造性あふれる若者が積極的に参加しクオリティーも上がってきた。かかしの枠を超えた美術作品を、バルーンを横目に『鑑賞する』という新たな楽しみがここで見られるようになった」と話す。
鈴木さんは「バルーン会場に訪れたお客さんに支えられ、10年間続けることができて感謝している。かかしまつりを地域の文化として定着させ、次の世代にぜひつないでいきたい。観戦のついでに、作り手の思いが詰まったかかしを見に来てもらえれば」と呼び掛ける。
11月4日まで。