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佐賀・鍋島家の小箱「ボンボニエール」 明治から昭和初期の100点以上特別公開

「ボンボニエール」と共に来場を呼び掛ける徴古館学芸員の池田三紗さん

「ボンボニエール」と共に来場を呼び掛ける徴古館学芸員の池田三紗さん

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 佐賀藩・鍋島家の資料を展示する「徴古館」(佐賀市松原2)で2月11日から、同家伝来の引き出物の小箱「ボンボニエール」が展示されている。

天皇家の菊の御門があしらわれた大正時代の「ボンボニエール」

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 「ボンボニエール」はフランス発祥の砂糖菓子「ボンボン」を入れる小箱。子どもの誕生や結婚など祝い事の際に砂糖菓子を送るというヨーロッパの風習に合わせて作られるようになった。日本では1889(明治22)年、大日本帝国憲法の発布を記念する式典で皇室から配られたのが記録上最初とされ、以降、皇族や華族が祝い事の際に引き出物として添えるようになったとされる。銀や陶器、七宝などで作られ、近年では2014年に高円宮(たかまどのみや)家の次女典子さんの結婚披露宴で参列者に配られた。

 2月11日から開催中の企画展「鍋島家の雛(ひな)祭り」での特別公開品として「ボンボニエール」を展示する。学芸員の池田三紗さんによると、「ボンボニエール」が鍋島家と他家の交流の様子を示す貴重な資料であり、昨年3月から今年1月に開催した企画展「幕末明治の鍋島家 ―大名から侯爵へ」で来場者からの評判が良かったことから展示を決めたという。「昨年の企画展で数点展示していた際、見た目のかわいらしさや細かな細工に足を止める来場者が多かった。ひな人形の持つ柔らかくきらびやかなイメージとボンボニエールがマッチしている」と話す。

 入ってすぐのショーケースに並ぶ「ボンボニエール」は、明治時代半ばから昭和初期にかけて鍋島家に伝わったものから、デザインが重複するものを除き、100点以上あるほぼ全てを展示した。ふたの部分に桃や鳳凰(ほうおう)をデザインしたものや、扇や玉手箱、琵琶などをかたどったもの、天皇家の菊の御門や家紋をあしらったものをはじめ、軍艦や戦車をかたどったという昭和初期の世相を反映したものまで幅広い。大きさは一部を除き、ほぼ全てが5センチメートル四方に収まるほどのサイズ。池田さんは「いずれも手のひらサイズで、並べたときにとてもかわいらしい印象。コレクション性も高く、鍋島家の人々も眺めて楽しんでいたのではと想像が膨らむ」と笑顔を見せる。

 「インパクトと気品を兼ね備えたメイン展示のひな人形と、小さくかわいらしい印象で展示に花を添えるボンボニエール。一見対象的な2つの展示だが、どちらも本展のテーマである『鍋島家と他家のつながり』を示すという共通点がある。来場した際はボンボニエールにも目を通して、展示全体に流れるテーマを感じてほしい」と呼び掛ける。

 開館時間は10時~17時。入館料は300円(小学生以下無料)。3月31日まで。

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