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佐賀市・旧三省銀行で「鍋島緞通」展示 佐賀出身若手画家の作品も

ひな祭りにちなんで制作された「平安夢の舞」

ひな祭りにちなんで制作された「平安夢の舞」

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 「鍋島緞通(だんつう)吉島家」(佐賀市赤松町)が2月11日から、「旧三省銀行」(佐賀市柳町)で伝統的な敷物用織物「鍋島緞通(だんつう)」の展示を始めた。

同時展示している、木下ユリカさんの作品「桃の花」

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 今年で19回目となる「佐賀城下ひなまつり」の開催に合わせて展示するもの。

 中国発祥のじゅうたん「緞通」は主に木綿を織り糸に使い一目一目を手で織り上げる工芸品。「鍋島緞通」は、江戸時代元禄(げんろく)期に長崎で、中国人から技術を学んだ佐賀藩の農民・古賀清右衛門が「扇町毛氈(もうせん)」を製作したことがルーツとされ、藩主鍋島家の御用品となり発展。近代以降も技法が受け継がれ、2003年に「佐賀県伝統的地場産品」に指定された。織師の中村健吾さんは「かつて佐賀の有明海沿岸で上質な木綿が生産されており、緞通の製造に適した土地柄だった」と話す。

 会場玄関口そばの和室に畳1畳サイズの緞通を10枚並べており、中村さんによると、「蟹牡丹(かにぼたん)」と呼ばれる鍋島緞通の伝統柄でおよそ100年前に作られたものだという。「年数を経た古作が味わいを増し新たな魅力を放っている。頑丈で長持ちすることが鍋島緞通の特徴で、子や孫へと受け継がれ、家族を見守り続けていくものだ」と中村さん。

 1階の奥の間に立て掛けられた4枚の「平安夢の舞」は、ひな祭りに合わせて制作したもので、昨年初めて披露し、今年で2回目の展示。中村さんは「華やかな平安時代の宮中のワンシーンを映し出しているが、きらびやかさや派手さはなく、シンプルな色付けが登場人物の温和な表情を引き出している。鍋島緞通の特徴である『おおらかさ』が表現された作品」と話す。

 2階には、ペンキを使用した抽象画を描く佐賀県出身の若手画家・木下ユリカさんの作品も数点展示する。純白のびょうぶに色を重ねた「桃の花」は、雪の上に咲き始めた様子を表現している。

 全国各地の百貨店でも展示販売する緞通も並ぶほか、「鍋島緞通を身近なものとして利用してもらうため」(中村さん)にと、会場限定特別価格品として2万1,000円の小物敷きを5,400円で販売する。展示室内に設置する織り機を使った織り師による制作実演も行う。

 中村さんは「残すべき伝統を大切にしつつ時代の求めに応じた作品を届けることをモットーに、おもてなしの心を大切にしている。会場ではお茶を召し上がっていただくスペースも用意したので、くつろぎながら新旧織り交ぜた作品を見てもらえれば」と呼び掛ける。

 開館時間は10時~17時。入場料は、佐賀市歴史民俗館(旧三省銀行、旧古賀銀行、旧古賀家)と徴古館の共通入場券=600円、佐賀市歴史民俗館入場券=400円。3月31日まで。

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