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佐賀の書道家・山口芳水さんが個展 廃品活用した作品通じてごみ問題を提起

最新作「世界最高額550億5500万円ニューヨークで落札された日本人ごみアートとは?」と山口芳水さん

最新作「世界最高額550億5500万円ニューヨークで落札された日本人ごみアートとは?」と山口芳水さん

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 佐賀市在住の書道家でアーティストの山口芳水(ほうすい)さんの個展「MATERIAL(マテリアル)」が2月2日、「Alternative Space& Bar 417(オルタナティヴ・スペース・アンド・バー・417)」(佐賀市中央本町)で始まる。

日本美術芸術大賞受賞作「破壊と再生」と山口芳水さん

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 書道家の父の下、5歳で書道を始め、第18回佐賀県書道展大賞などの受賞歴を持つ山口さん。現在、佐賀市内で書道教室を主宰し、NHK佐賀の番組コーナー「美文字講座」の講師を担当するほか、サッカーJ1サガン鳥栖のスローガン題字を手掛けるなど書道家として幅広く活動する傍ら、現代アートにも積極的に取り組み、斬新な作品を世に送り出してきた。2018年に国立新美術館(東京都港区)で行われた公募展「第4回躍動する現代作家展」で「貪欲」をテーマにした作品群「G series(ジー・シリーズ)」を発表し、最優秀賞を受賞。今年は、2018年入館者数が1020万人を記録し世界一になったフランス・ルーヴル美術館での出展を予定している。

 今年最初の個展を佐賀で開催するに当たり、ごみ捨て場などで収集した廃品を素材にした新作を発表することを思い立ったという山口さん。「以前からごみ問題に関心を抱いていた。捨てられたごみでもアートとなり新たな価値を生み出すことを知ってほしくて、見る者の心に響くインパクトのある作品を制作した」と話す。「素材」を意味する「MATERIAL」を個展名に冠し、「ごみアート」をはじめ、書、絵画、陶器など計24作品を展示する。

 今回の「メインアート」と位置付ける「世界最高額550億5500万円ニューヨークで落札された日本人ごみアートとは?」は、捨てられた冷蔵庫を活用し、雑誌の切り抜きなどを貼り付けた作品。山口さんは「長い作品名にした理由はウェブ検索で目立たせるため。検索結果画面で目に留まりやすい奇妙で刺激的なタイトルで、ごみ問題の深刻さを訴えた同名の動画サイトへ『誘導』させることを狙った」と説明する。作品に刻まれた数字「55055」は山口さんの座右の銘で、55=精進、0=初心、55=新たな挑戦、を意味しているという。

 「破壊と再生」と題した作品では、廃棄されていたスピーカー、キーボードの鍵盤、ギターのネックなどを四角いキャンバスに組み合わせた。「壊れたはずの楽器たちが『再生』し、聞こえない音を『再生』する」(山口さん)という作品は、法政大学名誉教授の佃堅輔(つくだけんすけ)さんら美術評論家で構成する「日米蘭芸術アカデミー協会」が選考する「日本美術芸術大賞」の受賞が決まり、3月に神奈川県民ホールギャラリー(横浜市中区)で開かれる「第4回美術評論とともに観(み)る美術展」で展示予定になっている。

 山口さんは「尊敬する佐賀の偉大な書家・中林梧竹は新しいことに次々とチャレンジしたが、私もそれに倣い『ごみアート』に挑戦した。使われなくなったり破壊されたりしたものでも『希望あるもの』によみがえることを、個展を通して訴えたい。作品にどんなメッセージが込められているか、イマジネーションを膨らませてもらえれば」と呼び掛ける。

 開館時間は17時~24時。月曜休館。入場無料。2月24日まで。

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