カードを使ったゲーム形式による防災教育教材「クロスロード」を広く知ってもらおうと11月11日、体験イベントが本庄公園(佐賀市本庄町本庄)で初開催された。イベントの企画、主催は「さがクロスロード研究会」。
「クロスロード」を大喜利風にアレンジしたゲームに興じる参加者
佐賀市が行う「平成30年度佐賀市総合防災訓練」に合わせて、NPO「アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン)」(佐賀市松原1)が展開する「みんなde防災フェス2018」のアトラクションの一環。
「クロスロード」は、文部科学省が推進する「大都市大震災軽減化特別プロジェクト」の一環として、大地震の被害軽減を目的に開発されたゲーム。阪神・淡路大震災など過去の災害で実際に起きたケースをもとに、「自分ならどうするか」を問う2択の問題を出題者が投げかけ、参加者が「イエス」と「ノー」と書かれたカードのどちらかを提示してそれぞれの見解を述べ合う。「クロスロード」は「重大な分かれ道」や「人生の岐路」といった意味があり、災害現場の緊迫した状況で瞬時の判断を求められる事例での「正解」のない対応について、「なぜそのように考えたのか」を、参加者同士で意見交換することが重要なポイントとなる。
「さがクロスロード研究会」は、「クロスロード」をフェスで使うことを検討した「A-PADジャパン」の呼び掛けに応じた市民が中心となり今年9月1日に発足。イベントの準備から実行までを担った。同研究会の吉村浩さんによると、大地震を経験した熊本など、全国各地で『クロスロード』を活用した取り組みが行われているが、佐賀では、一般市民を対象に「クロスロード」をゲーム形式で楽しむイベントは今回が初めてという。
この日、テレビ番組「笑点」の「大喜利」をモチーフにゲームとしてアレンジした「クロスロード」を披露した。同番組のテーマソングが流れる中、赤じゅうたんが敷き詰められた舞台に上がった5人の参加者に、出題者がケーススタディーを発表し、イエスかノーの回答が3人対2人になると、3人に青い座布団が贈られ、4人対1人になると、「少数意見は尊重されるべき」(吉村さん)として、1人に赤い座布団が贈られるというルールでゲームは進行。舞台上の5人が危機対応に対し活発な意見を交わしだけでなく、客席の人たちも、イエスとノーのプラカードを持って一緒になってゲームに取り組んで、防災意識を共有した。
ゲームに参加した佐賀女子短期大学2年の中村萌実(もえみ)さんは「災害発生時に自分ならどうするかと考える機会は普段はほとんどない。ゲームを通して自分自身の防災に対する考え方が分かったし、自分と異なる他の人の意見も知ることができて、いい学びになった」と話す。
吉村さんは「初の試みだったが、参加者には好評を得ることができた。『クロスロード』は決断力を養い危機管理能力を高めるなど教育的価値が高く、また誰でも気軽に参加できるゲームなので、多くの人に知ってほしい。これからも2カ月に1回くらいの割合で、体験イベントを開催していきたい」と意欲を見せる。