佐賀大学近くの学生定食屋「宇良辺(うらべ)」(佐賀市鬼丸町)の店主・浦部義男さんが8月31日、店を引退し、新たな店主に店を引き継ぐ。
佐賀大学正門前に45年ほど前、定食屋「さち」という店名でオープンした同店は、客が「A定」「B定」「C定」と呼ぶ日替わり定食や「とり唐揚げ定食」など、いずれもボリュームのあるメニューで知られ、大学生をはじめサラリーマンも訪れる。注文したメニューの受け取りと食事後の食器下げはもちろん、支払いは「カウンターの箱に自分でお金を入れお釣りを取る」というセルフ方式を続ける。
大学周辺の道路拡張工事に伴い、10年ほど前に現在の場所に移転、現在の店名に改め営業してきたが、浦部さんの健康上の理由で、店の後継者を探していたという。
店の後を継ぐことを決めたのは、實岡(じつおか)庄平さん。佐賀大学出身で学生時代の「さち」の頃から同店に通っていたという實岡さんは、SNSで同店の後継ぎを募集していることを知り、これまで佐賀駅近くで営業してきたカフェを閉め、同店を引き継ぐことを今月の盆休み中に決めたという。實岡さんは現在、浦部さんの下で引き継ぎのための「修業」を受けている。
實岡さんは「朝から晩までずっと一人でお店に立ち続ける浦部さんを見て、すごい人だなと思っていた。以前から佐賀大学付近で店を開きたいと思っていたが、浦部さんが引退すると知って他人事でないと感じ、店を守りたいと思った。お店の名前やメニューは変えず、これまでと変わらず学生に愛され続ける店でありたい」と話す。
「今後、佐賀大学に新設された芸術地域デザイン学部の学生とコラボして、店内での作品展示など、店を活用した取り組みもしてみたい」とも。
営業時間は10時30分~21時30分(日曜は~17時)。浦部さん引退後、準備のためいったん閉店し、9月上旬に営業を再開する予定。