佐賀県立博物館(佐賀市城内1)で現在、企画展「医とくすりへの志」が開催されている。
幕末維新期から明治期にかけて、日本の医療、医学教育、薬学の発展に大きな影響を与えた佐賀出身の人物=佐賀の「医人」と、彼ら「医人」の人づくりに影響を与えた佐賀藩10代藩主・鍋島直正にスポットを当てた同展。
佐賀県薬務課の吉上紀章参事は「『佐賀の八賢人』はここ数年知っている人が増えた一方、佐賀の『医人』は佐野常民以外知られていない。現代の医療に大きく貢献した人もいることを知ってもらいたい」と話す。
展示ブースは計7つに分け、佐賀藩の財政改革や人材育成、当時のはやり病であった天然痘との闘いから、医師制度改革の推進、現代医療の最前線までをパネルで解説する。子どもたちや歴史について詳しくない人にも楽しんでもらえるよう、パネル展示の要点となる部分はドラマ仕立ての短い映像で再現した。
佐賀市内では紹介が少ない対馬藩の飛び地、田代領(現在の鳥栖市東部)での製薬、売薬業についても紹介する。各パネルの下部には「歴史の知識に自信がある人や『通』な人にはニヤリとできる」(吉上さん)というこぼれ話も掲載する。同館敷地内にある「岡田アトリエ」では、体験コーナーとして「におい袋を作ろう!」、「医療器具の仕組みを体験」(土曜・日曜・祝日開催)も展開する。
吉上さんは「登場する佐賀の『医人』の事前知識に関係なく楽しめる展示になっている。社会科の先生から『自分でも知らないこともあり、勉強になった』と声を掛けられたほど。ぜひ展示を見て、日本の医療、医師教育、薬学のスタートラインに佐賀の人物がいたことを感じてもらいたい」と話す。
開館時間は9時30分~18時。入館無料。7月13日まで。