佐賀市が提供する「佐賀市公式スーパーアプリ」が3月5日、デジタルメディア協会が主催する「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー’23」で、地域に根差したデジタルコンテンツやサービスの中で最も優れた功績を挙げた個人や団体に与えられる「リージョナル賞」を受賞した。
同アプリは、一つのアプリで佐賀市での生活に必要な情報や機能が利用できることを目指したアプリ。行政だけでなく、地域や企業など市に関わる情報もアプリ内で展開可能な「デジタルタッチポイント」となるプラットフォームを目指し、昨年6月に提供を始めた。
開発のきっかけは「デジタル化で本当に便利になっているのか」と疑問になったことから。スマホ普及率の高まりとともに、行政が提供する住民向けサービスの利用機会が増えているが、役所内の部署ごとや行政機関ごとにバラバラにウェブサービスやアプリが提供されていることで市民によってはデジタル化の恩恵が見えにくい人もいると感じたという。佐賀市は2022年3月に「佐賀市DX推進方針」を策定。7月に「スマートシティー宣言」を行い、「市民サービスDX」の具体的な取り組みとして、IT企業「オプティム」(佐賀市本庄町)と「コード・フォー・ジャパン」(東京都文京区)と共同で同アプリを開発した。
本提供に先立ち、昨年4月に提供を始めたβ版では、ごみカレンダーや施設予約、電子申請、図書館の貸出状況や予約、図書館カードのデジタル化、市役所窓口の待ち人数表示、防災・防犯情報プッシュ通知の機能を提供。市民からのフィードバックを踏まえ、同6月の提供開始に合わせて、お知らせ通知やホーム画面のカスタマイズ機能を追加したほか、プレミアム付き地域振興券との連携も図った。同アプリは現在までに3万8000ダウンロードされ、1万6000人の市民がマイナンバーカードとひも付けた「市民証」を発行した。
今年で29年目の開催となる「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー」。「リージョナル賞」の受賞は佐賀県内で初めてで、アプリサービスでの受賞は全国で初めて。市民の声を広く聴き、機能追加や柔軟にバージョンアップしたことや、マイナンバーカードを活用したデジタル市民証の機能実装の点などが評価された。
DX推進課副課長の菅祐亮さんは「紙での申請や情報提供からデジタルへの移行期の中で、スーパーアプリを通じてデジタルの便利さをより多くの人に実感してもらえると完全デジタル化へのスピードがアップすると考えている。この構想の全国展開も目指し、このプラットフォームを通じた、市民生活をより便利にする取り組みの輪を広げられるよう、今後もアプリに磨きをかけていきたい」と意欲を見せる。