ミドリムシの屋外大量培養を手掛ける企業と佐賀市が共同で取り組んできた研究成果の発表報告会が9月28日、佐賀市下水浄化センター(佐賀市西与賀町高太郎)で開かれた。
研究に取り組んできたのは「ユーグレナ」(東京都港区)。同社と佐賀市は2014(平成26)年2月、藻類培養に関する共同研究契約を締結。同社が市の施設から生じるバイオマス資源などを活用した藻類培養の技術や低コスト化の研究を進めてきた。報告会では、同社の出雲充社長がこれまでの取り組みを発表した。
出雲社長が発表したのは、国土交通省が実施する下水道革新的技術実証事業「B-DASHプロジェクト」に参画した同社が下水中に含まれるリンや窒素をミドリムシの培養液に利用した取り組みをはじめ、堆肥メーカー「大日技研」(神埼市千代田町)の協力によるミドリムシを用いた培養土の開発やミドリムシに含まれる多糖類の一種「パラミロン」を用いてバイオプラを研究開発する「パラレジンジャパンコンソーシアム」、ミドリムシを活用した循環型農業を研究する「サステナブルテック・ファーム」など。佐賀市内の企業が中心となり立ち上げた「さが藻類バイオマス協議会」での取り組みも併せて発表した。
出雲社長の発表に続いて、先進的な理数教育を実施する「スーパーサイエンスハイスクール」の指定を受けている佐賀県立致遠館高校(佐賀市兵庫北4)の生徒で、池田桜子さん、久原心姫さん、小松優希さん、恒松理緒さんが、ミドリムシに関する研究発表を行った。
出雲社長は「致遠館高校の生徒からの研究発表はお世辞抜きで素晴らしく、当社で研究のアルバイトとして参加してほしいと思ったくらい。ミドリムシが好きという気持ちが伝わってきた。今後も行政との適切なコミュニケーションを取りながら地元・佐賀の人々の理解を得つつ研究を続けていきたい」と意気込む。