佐賀県吉野ヶ里町坂本地区公民館で3月19日、「しし肉シンポジウムin吉野ヶ里」が開かれた。
イノシシのモモ肉のローストを笑顔で掲げる試食会の調理を担当した吉田順一さん
主催は吉野ヶ里町観光戦略協議会。吉野ヶ里町の観光推進のため町内外の有志で構成された同協議会は、新たな特産物として、近年、都市部で流行しているジビエ料理に着目。同町で年間100万円以上の農作物被害をもたらす害獣のイノシシを特産品として売り出す手段と方法を学ぶため、同企画を計画した。
近隣地区の農家や住民、同町の職員など、およそ30人の参加者は、武雄市でイノシシ肉のブランディングに携わってきた永田裕美子さんを講師に迎えた講演を聴講。フェイスブックを使った販売促進方法などを学んだ後、同町農林課の西村晴繁課長による同町のイノシシ被害の現状と対策についてや、同町松隈地区生産組合長の松隈仁さんによる「中山間地における耕作放棄田の活用」についての報告に熱心に耳を傾けていた。
その後、同町で捕獲されたイノシシ肉を使った料理を試食。調理を担当した福岡市にあるレストラン「情熱の千鳥足カルネ」の副料理長・吉田順一さんや、同協議会のメンバーの説明を聞きながら意見交換した。
「保存食として常温販売の可能性がある」と説明されたイノシシのリエットの瓶詰めを試食した松隈さんは「自分たちで調理した時と異なり、柔らかくて食べやすい。とてもおいしい。特産品化することで少しでもイノシシによる被害が減ってくれたら」と話していた。