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佐賀で「日本赤十字社展」 佐野常民の赤十字事業への思いと足跡たどる

佐賀常民記念館学芸員の山口智世さん

佐賀常民記念館学芸員の山口智世さん

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 佐野常民記念館(佐賀市川副町早津江津)で現在、「日本赤十字社展-博愛とともに-」が開催されている。

女性看護師の育成にかかる経費をまとめた書類など、展示の一部

 佐賀県内で現在開催している「肥前さが幕末維新博覧会」に合わせ、江戸末期から明治にかけて活躍した「佐賀の七賢人」の一人で、後の日本赤十字社となる「博愛社」を創設した佐野常民と、「博愛社」および日本赤十字社の歴史を振り返る同展。同館学芸員の山口智世さんは「佐野が博愛社を作るまでには、当時の政府から『敵味方関係なく救護する』という赤十字活動の理念そのものを反対されるなど表に見えない苦労や、それを克服するため、仲間たちと行った裏の努力があった。それを知ってもらいたく、館内全体で今回の展示を企画した」と振り返る。

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 展示は同館2階と中2階の2つのフロアで行う。2階では「赤十字の誕生と、日本で赤十字活動が始まるまで」をテーマに、赤十字事業の創始者アンリー・デュナンを描いた絵画「ソルフェリーノのアンリー・デュナン」をはじめ、彼の活動に感銘を受けた佐野が赤十字活動を始めるために書いた建白書、佐野が大きく関わった女性看護師の育成に関する資料を展示する。中2階では「日本赤十字社ができてから現代まで」をテーマに、赤十字社が関わった会津磐梯山噴火や関東大震災の災害救護や日露戦争での負傷兵救護に関する資料、赤十字社の広報のために作られた映画のパンフレット、佐野が九州7県と山口県を巡回し講演した際の移動記録などを展示する。

 山口さんは「佐野や博愛社、日本赤十字社の職員立ちの直筆資料にたくさん触れたことで、文字を通して彼らの気持ちが伝わってくるのを感じた。展示では状態の良い冊子型の展示物を開いた状態にしているので、彼らの書いた文字、言葉に注目してほしい」と話す。「佐野は自分以外の人を思いやり、彼らのために何ができるかを常に考えた『博愛』の人。そのために自分の足で動きまわったアグレッシブな人でもある。そんな佐野の姿に触れてもらえれば」とも。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は、大人=300円、高校生以下無料。6月30日まで。

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