「宮城県人会さが」が3月2日、東日本大震災の犠牲になった人たちへの寄せ書きを集めたハト型の風船を「閖上(ゆりあげ)中学校遺族会」(宮城県名取市)に送った。
宮城県仙台市出身で1990年から佐賀に住む「宮城県人会さが」代表の富田万里さん。2011年3月11日の東日本大震災で周りの人たちがボランティアや支援活動に励む中、地元の被害の大きさにショックを受けたまま何もできない自分に無力感を覚えたという。同じ思いをしている地元出身者が他にもいるのではないかと、仲間を募集し、同年5月11日、宮城県出身者、宮城県に住んだことがある人、宮城県で被災し佐賀に移住した人9人で同会を発足した。
発足当初の仲間内で気持ちを分かち合う集まりから、震災を経験した人の話を聞いているうちに「被災地に向けて何かしたい」と思うようになり、募金運動や震災にまつわる映画の上映会、イベントでの宮城名物の販売と活動を広げ、収益金を被災地に寄付するようになった。偶数月の11日には会報「まんずまんず通信」を発行、奇数月の11日には交流会やミニイベントなどをする例会を続けている。現在の会員は50人。
「ハト風船」は、東日本大震災の犠牲になった閖上中学校の生徒14人の家族による「閖上中学校遺族会」の主催で毎年3月11日に同校慰霊碑前で行っている「追悼のつどい」の中で、亡くなった人への思いと平和を願う気持ちを込めて、2013年から飛ばしているもの。太陽光によって自然分解される素材を使っているという。
宮城県人会さがが寄せ書きを送るのは2016年に続き2回目。遺族会から届いた2枚のハト風船を持って富田さんが県内各地を回り寄せ書きを集めていたが、市民活動支援拠点「佐賀市市民活動プラザ」(佐賀市白山2)のスタッフが「ここには日々たくさんの人が来るので寄せ書きが集まりやすいのでは」と協力を提案。2月20日からは同プラザ受付付近にハト風船の寄せ書きコーナーを設置した。訪れる人々がメッセージをつづり、2枚のハト風船に75人分の寄せ書きが集まった。2枚のハト風船は富田さんが3月2日、遺族会へ送った。
富田さんは「多くの人の心のこもったメッセージにたくさんの思いを託されたと感じた。閖上の人たちの心が少しでも温かくなったらうれしい。佐賀と宮城を結ぶ支援を越えた交流活動を今後も続け、佐賀の人たちが宮城の土地や住む人に思いを馳せるきっかけになれば」と話す。