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佐賀城本丸歴史館でテーマ展 幕末から維新に佐賀藩で活躍した5人を紹介

武富イ南の自筆作品「水墨山水図」を前に来場を呼び掛ける佐賀城本丸歴史館学芸員の芳野貴典さん

武富イ南の自筆作品「水墨山水図」を前に来場を呼び掛ける佐賀城本丸歴史館学芸員の芳野貴典さん

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 佐賀城本丸歴史館(佐賀市城内2)で現在、テーマ展「佐賀の異才を追う」が開催されている。

佐賀城本丸歴史館テーマ展「佐賀の異才を追う」展示の一部、着物の細かい柄の一つ一つまで手描きされた古川松根の美人画など

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 「佐賀の七賢人」と呼ばれる大隈重信や江藤新平らと同じ、幕末から明治維新にかけて生まれ、それぞれの才能を生かし佐賀藩で活躍した5人を、彼らが残した書や手紙、絵画など20点を通して紹介する。

 紹介する5人は「義祭同盟」を結成し、尊王思想を説き若者に影響を与えた「佐賀の吉田松陰」こと枝吉神陽(しんよう)、朝鮮からの使者を前に即興の絵画や詩を披露し「奇才」と称された草場佩川(はいせん)、生涯を佐賀藩主・鍋島直正に捧げ、自らのセンスと知性を遺憾なく発揮した古川松根、若き直正に信頼された実務のエキスパート・永山二水、佐賀藩の藩校・弘道館で25年教師を務め、大隈重信らを育成した武富イ(=土へんに巳)南(以下、イ南)。学芸員の芳野貴典さんは「東京に行き、政府で華々しく活躍した大隈や江藤らとは違う形だが、今回紹介する5人もまた幕末に活躍した佐賀藩士たち。普段はあまりスポットライトが当たらない彼らだが、実はすごい才能を持っていることを伝えたいと企画した」と話す。

 芳野さんが「ぜひ注目してほしい」とすすめる武富イ南について「学識豊かで人材を育てる才能があり、趣味の絵もプロ並みのクオリティー。才能あふれる『大先生』だが、思想が幕末の時流に合わなかったばかりに、これまでの展示では取り上げることが少なかった」と話す。芳野さんは、イ南の魅力が人々に知られず埋もれてしまうのはもったいないと感じ、展示のラインアップに加えたという。

 同展ではイ南の自筆の絵画2点と書1点を展示する。「縦1.8メートル、横1メートルの大作『水墨山水図』は、イ南の細やかさや独自のこだわりの強さ、何より教職の傍ら描いたとは思えない、絵の才能を感じさせる」と芳野さん。

 芳野さんは「イ南はもちろん、『佐賀藩の綺羅星(きらぼし)』といえる5人それぞれに絵画の才能や学識が垣間見えるものをピックアップして展示した。学問的な視点はもちろん、絵画のクオリティーの高さや字の美しさなど、視覚的な部分でも楽しめるように工夫している。ぜひ会場で5人が残した絵や書を見て、彼らの一筋縄ではいかないハイスペックな能力を知ってほしい」と呼び掛ける。

 開館時間は9時30分~18時。入場無料。12月6日まで。

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