佐賀市の古湯温泉に「泊まれる図書館」をつくろうと、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」を使い、本の購入と本棚の製作資金を6月20日まで募っている。
古湯温泉に「泊まれる図書館」プロジェクトを進める白石隆義さん
ウェブサイト企画会社「カラクリワークス」(福岡市中央区赤坂)でウェブデザイナーとして働く傍ら、週末に福岡市内で「旅の古本の店 ひとつ星」(福岡市中央区今泉)を営むという本好きの白石隆義さんが次の夢をかなえたいと2015年2月、古本店のホームページで「泊まれる図書館プロジェクト」を発表したところ、客などからの反応が良かったことから実現へ動き出した。今回、「図書館」の書籍購入と本棚作りにかかる費用をクラウドファンディングで資金調達することを決めた。
「図書館に温泉を組み合わせたい」と考えた白石さんは、福岡市内からアクセスしやすいなど独自の選定基準を作り、同温泉に加え、福岡県の脇田温泉、熊本県の山鹿温泉・平山温泉、大分県の日田温泉・山鹿温泉を訪問、昨年10月から「市場調査」を行ってきた。
街の雰囲気や地元の方の人の良さが決め手となり、古湯温泉に図書館を開くことを決めた昨年12月からは地元の方の協力を得て、オープンに向けた準備を進めている。実際に「図書館」に決めた建物は古くから芸者の日本髪を結う美容室として使われてきた古民家で、白石さんの「調査」で温泉街を散歩中に建物オーナーとたまたま出会った会話の中で話が進んだことでも同温泉の人の良さを感じているという。
白石さんによると、「カラクリワークス」の協力を得て古民家を図書館「暁(あかつき)」としてリニューアル。昼間はカフェ付の図書館として、夜は図書館を丸ごと独り占めできる1日1組限定の宿泊施設として、7月末のオープンを目指す。
白石さんは「温泉に入り土地の人に触れ、本を読みながらゆっくりとした時を過ごす泊まれる図書館は『現代の湯治場』のような場所。ゆっくりと温泉で体を癒す『湯治』と、ゆっくりとした時間の中で本を読み心を癒やす『読治』の組み合わせで現代版の『TOHJI』という文化を、この泊まれる図書館で少しでも高めたい」と意欲を見せる。