佐賀県庁で3月14日、「第5回佐賀の木・家・まちづくり賞」表彰式が行われ、「佐賀市街なか再生会議」などが取り組む「街なかクリーク活動」が「まちづくり賞」を受賞した。
地域の良好な景観形成や暮らしに豊かさを与えるまちなみや、まちづくり活動グループなどに贈られる同賞。
「街なかクリーク活動」は、かつて佐賀城下町の中心部で人々の生活と繁栄を支えた人工水路「クリーク」に再び光を当て、「豊かな街なか環境の再生」を目指し取り組んだ点が評価された。
同活動参加団体の一つ「NPO法人 みなくるSAGA」は、1740(元文5)年製作の古地図「佐賀城廻之絵図」を基に2014年、佐賀城の外堀「十間堀川」で調査を行い、同河川が水運業に使われていた証拠を発見。同年5月に「さが水ものがたり館」(佐賀市大和町)でシンポジウムを開くなどして、歴史的、防災的、観光的側面から同河川の重要性と利活用法を説いてきた。
昨年10月には「さが段階チャレンジ交付金」の助成を受け、地域住民と協働で和船とカヤックによる「十間堀川下り」のモニター運航を始めた。十間堀川を活動拠点に水辺の環境整備や保全活動の役割分担、地域住民や連携組織、オブザーバーとして迎えた国土交通省筑後川河川事務所と経済効果についての協議を重ねた。来年度は佐賀市と事前調整の上、試験営業運航に移行し、2017年度の本格営業を目指す。
本年度のモニター運航について、「みなくるSAGA」理事の本間雄治さんは「モニターの乗客から『街なかのクリークが異次元の空間に見えてきて驚いた』との感想をいただいた。市内の水路活用の話は以前からあったが、具体的な計画を経て実現させたのは今回が初めて」と話す。
「佐賀は昔から水の街だった。街の中心から水路を使い、東京や大阪まで行くこともできた。陸上だけでなく水上の活用も含めたまちづくりを行うことで初めて佐賀の街のよさは生かされる」とも。「時間はかかるだろうが、十間堀川の『歴史的水運』を観光事業として定着させたい」と意気込む。